大司教
シノドスホールから
2023年10月17日
ご存じのように、シノドスに参加するために、ローマにおります。日本からは司教協議会の代表としてわたし。また教皇様が任命された司祭や信徒修道者の代表として、また議長代理として西村桃子さん。さらに専門家として弘田鎮枝さんと、三名が日本からの参加者ですし、日本語話者とすれば、ルクセンブルグのオロリッシュ枢機卿様も含まれて、4名となります。
正直、プログラムがタイトです。イタリア独特のシエスタタイム(昼寝時間)が午後に3時間ほど入るので、微妙な感じですが、朝は8時45分に始まり、12時半まで。その後、それぞれの宿舎に帰り昼食。午後4時に再び集まって午後7時半まで。それから宿舎に戻って夕食です。各自のIDカードには、写真と名前、そして討議要綱(Insrumentum Laboris)に記されているAの課題とBの三つの課題に対応して、併せて四つの小グループ分けが記され、裏にはQRコードが記されています。このQRコードで出欠が管理されています。
会場には35の小グループ用テーブルがあり、それぞれに参加者11名ほどと一名の司会役の席が指定されており、それぞれにタブレットが置かれていて、名前がすでにスクリーンに表示されています。朝にはそれでQRコードを読みとり、出席者数を確認、一日の終わりにはログアウト。欠席には文書での申し出が必要で、バチカンの役所の責任者なども、ほぼすべて皆勤です。参加者は代表と専門家などを含め、400人を超えています。
詳しい会場での話し合いの内容は、分かち合いという性格上、皆さんもよくご存じのように、そこで話された内容は外で口外しないのが原則ですから、基本的には、毎日行われているバチカン広報省のルフィーニ長官の記者会見以上のことは外部には伝えられていません。
毎日の様子については、東京教区のシノドス担当者である小西神父様が、短くビデオにまとめて、毎日のように東京教区から公開していますので、そちらを参照ください。実はわたしもそれを毎日見ていて、現場にいては気がつかなかったこともあったりして、驚かされています。
会議は基本的に、討議要綱にあるワークシートの設問通りに進んでいます。是非、討議要綱をご覧ください。そしてそこにある設問に、それぞれの共同体で分かち合いをしていただければと思います。こちらのリンクに邦訳があります。また今回はこれが強調されていますが、霊における対話(霊的な会話)方法が、分かち合いの方法として強調されており、この方法を、教会全体に取り入れたいという思いが感じられます。聖霊の導きを共同体として識別するための道です。討議要綱の日本語版は、中央協議会のこちらからダウンロードできます。また霊における対話(霊的な会話)については、その日本語訳の討議要綱の15ページ以下に説明されいますし、18ページにはイラスト化したものの翻訳されていますので、是非ご覧ください。
会議は、それぞれの課題ごとに、まずミサで始まり、次に総会議場で霊的な講話、全体的な解説と具体系な体験の分かち合いがあり、その後に、各テーブルに分かれた小グループごとの霊的会話に入ります。そして全体会議で小グループの発表と自由討議。そしてもう一度グループでの最終レポート作成となります。このパターンで、これまで10月4日から7日、9日から12日とすすみ、現時点では13日から始まった討議要綱のB2の諸設問についての分かち合いが進んでいます。教皇様は、全体討議には参加されます。車椅子での移動ですが、誰よりも早く会場に現れ、参加者に挨拶する時間を設けてくださっています。
全体会の自由討議のところでは発言が許されますが、わたしもB1の設問のところで、教会のカリタスの業について発言させていただきました。
すでに記したように内容をお話はできませんが、ただ巷にいわれているような、教皇様が秘密を守るように命じたということではありません。対立する課題でもそれぞれが恐れずに自由に話をするために、分かち合いの原則を守り情報の断食をしようと教皇様が呼びかけられました。また小グループでの霊的な会話は和やかに進んでおり、全体として緊張した雰囲気は全くありません。また事前にいわれていたような特定の課題について、議論が巻き起こっているということもありません。全体として祈りの雰囲気に包まれて、ともに歩もうとする姿勢が感じられます。
体調的にきつかったのは、出発の前夜、深夜になって予定していたルフトハンザ航空からメールが入り、羽田からミュンヘンは運航がANAなのでよいものの、ミュンヘンからローマがその日ほぼすべて欠航になりました。ローマに行けません。しばらく待ちながら深夜に様々やりとりしてわかったのは、振り替え便が早くても2/3日先になること。これではシノドス開始に間に合いません。そこでほかの航空会社のサイトに軒並み当たり、ルフトハンザの払い戻しより(ちょっと高かったものの、払い戻しができるチケットにしていて幸いでした)ちょっと安くなるターキッシュ(トルコ航空)のチケットを見つけ即座に、イスタンブール経由のターキッシュを予約し、ルフトハンザをキャンセルして払い戻し手続きをしたら、もう出発日の朝でした。
そのままローマに入り、ローマ郊外のサクロファノでの三日間の黙想会の後、開会のミサが野外ミサで、これがまた暑くて長い。その日の夜から、首筋あたりに湿疹が出て、そろそろ落ち着いてきましたが、かゆみに悩まされ続けています。加えて、泊めていただいている宿舎が、先日引退されたボッカルディ大使の手配で、教皇庁の外交官養成所なのですが、それがパンテオンのすぐ近くのため、バチカンまで微妙な距離です。歩けば25分程度ですが、朝晩は涼しくなってきたものの、日中は30度近い暑さのローマです。これで、朝出かけ、昼休みに戻り、また夕方出て夜遅くに戻るのは、結構大変でして、そのためこの数日は、司教の日記に報告を書く時間も気力もないまま過ぎてきました。
やっと半分終わりました。第二週目の土曜日です。あと二週間。乗り切ることができるように、皆様のお祈りを、どうかお願いいたします。またシノドス参加者が聖霊の導きを識別し、教会の進む方向を見極めることができるように、どうぞお祈りください。