大司教
来るシノドスでの歴史的出来事について
2023年07月18日
教皇庁からは、毎日ローマ時間のお昼に様々な公示が発表されます。教皇様による様々なメッセージや、各省庁からのメッセージなどですが、中でも人事の発表には注目が集まります。
7月7日には、10月に開催される通常シノドス第16回総会の参加者名簿が公表されました。参加者名簿はこちらからご覧いただけます。
そして7月9日のお昼には、恒例の教皇様によるアンジェルスの祈りに続いて、教皇様ご自身から、9月30日に枢機卿会を開催して、新しい枢機卿を親任するとの発表がありました。
まずはシノドスですが、すでに各国・地域の司教協議会は、そのサイズ(司教の人数)に応じて、代表の司教を選挙で選んでありました。ちなみに日本の司教団は代表が1名で、すでに以前の総会でわたしが選出されていました。これらの司教協議会代表に関しては、今年の5月頃に教皇様の裁可があり、内示がありました。
それ以外に、教皇様は各大陸(7つ)からそれぞれ10名ずつの司祭・修道者・信徒の代表を選ぶことを決められ、各大陸の組織(アジアではFABC)に、20名の候補者を出すようにとの通知がありました。これに加えて、教皇様がご自身で選ばれた参加者や、専門家など、今回初めて司教や枢機卿以外でも投票権を持って参加することになった多くの方の選出がかなりの時間を要したようで、参加者の発表は7月7日までずれ込みました。
日本に関係する参加者は4名です。一人は、以前上智大学で教えていたイエズス会のオロリッシュ枢機卿。現在ルクセンブルグの大司教であるオロリッシュ枢機卿は、リストではかなり最初の方のGENERAL RAPPORTEURという役目です。全体報告者とでも訳すのでしょうか。今回のシノドスを、シノドス事務局長のグレック枢機卿とともにはじめの頃から企画し推進してきた方ですので、総会でも重要な立場におられます。
もう一人は、専門家にリストアップされているシスター弘田。メルセス会のシスター弘田は、ローマで働かれたこともあり、以前のシノドスにも専門家として参加された経験があります。また今回のシノドスの企画運営の委員会の唯一の女性委員でもあります。
そして、日本代表のわたし。
そして、直後に枢機卿親任の発表があったのであまり注目されていませんが、歴史的な快挙である西村桃子さんの任命です。何が歴史的かというと、彼女の役割は、「議長代理(President delegates)」という役目の一人です。
シノドスの議長(President)は教皇様ご自身ですから、毎日の議事運営を実際に担ってシノドスを回していくのが議長代理の役目です。つまり西村さんは、教皇様の代理を務めるように任命されました。これ、実は、ものすごいことです。歴史的快挙です。
これまでのシノドスでは、この役割はほぼ枢機卿たちが独占して任命されてきました。教皇様の代理ですから、それが当たり前であったのでしょう。それを教皇フランシスコは今回、9名を任命されて、その中に枢機卿はひとりのみ。それに司教が4人、司祭がひとり、そして奉献生活者の女性が二人。そのうちの一人が西村桃子さんです。
西村桃子さん、歴史的快挙です。
西村さんはセルヴィ・エバンジェリーという宣教者の会の会員で、横浜教区で青年司牧活動に従事されています。フィリピンでの経験や、アルゼンチンでの経験が豊かにあり、英語とスペイン語に堪能です。
実は、今年の初め、アジアの大陸別シノドスを準備するにあたり、FABCの事務局ではアジア各地から、司祭だけに限らず様々な専門家に参加していただいて、事前の準備をしたり、文書を作成したり、実際の運営にあたるグループを立ち上げました。ところが東アジアからの代表がなかなか見つからない。東アジアは、「英語で文書が書ける女性」が条件だったため、なかなか候補者が見つかりません。すでに準備作業がはじまっていましたが、ある日ふと気がついて、東京教区で青年司牧にあたっておられるセルヴィ・エバンジェリーの会員を通じて西村さんにコンタクトをとったところ快諾。加えて、オロリッシュ枢機卿とも知り合いであることもわかり、早速チームに加わっていただきました。(上の写真がそのFABCのアジア大陸別シノドス文書作成チーム。西村さんは左から2番目。FABC会長のチャールズ・ボ枢機卿の隣り)
アジア各国からの司祭や信徒の神学者からなるチームの中で、西村さんは素晴らしい活躍を見せ、チームメンバーからも高い評価を得ていました。今回、議長代理に選出されたのも、アジアの大陸シノドスでの活躍が評価されてのことだと思います。FABCの事務局に関わるものとして、大変名誉な任命であると思います。(下の写真は、アジアの大陸別シノドスに参加した日本代表団とオロリッシュ枢機卿)
シノドスの準備は進んでいるようですが、教皇様が9月30日に枢機卿会を開催すると突然発表されたので、現場は大混乱している様子が伝わってきます。宿泊場所の確保が何やらエラいことになっているようです。
シノドスの投票権を持つ参加者(メンバー)は、いまのところ378名。そのほかに83名が招待されています。記者資料によればその中に女性は85名で、そのうちの56名が投票権を持っているメンバーです。アジアからは、総勢で44名が参加する予定です。
9月30日の枢機卿会から始まり、10月29日まで続くシノドスが、どうか聖霊に導かれて進むべき道を見いだすことができるように、お祈りください。
なおシノドスの討議要綱は、現在中央協議会で翻訳中で、まもなく公表されます。討議要綱は、すべての方にも読んでいただきたい文書で、それに基づいた分かち合いを、それぞれの場で進めていただきたい文書です。中央協で公表されましたら、分かち合いなどの呼びかけを改めていたします。