菊地大司教

    週刊大司教第二十七回:聖霊降臨

    聖霊降臨の主日となりました。

    聖霊降臨祭をもって、復活節は終了です。復活祭の締めくくりとして、聖霊降臨のミサでは、最後の派遣の言葉、「行きましょう、主の平和のうちに」のあとに、復活の八日間と同様、「アレルヤ」を唱えます。

    先週もお伝えしましたが、5月24日は、一年前から続いていた「ラウダート・シ特別年」の締めくくりの日です。2015年5月24日の聖霊降臨の日に、回勅「ラウダート・シ」が発表され、昨年がちょうど5周年となることから、教皇様はこの一年を、特別年として、「ラウダート・シ」について振り返り、考察を深めるように呼びかけられていました。

    教皇庁の人間開発のための部署(長官:タークソン枢機卿)では、これから数年間にわたり教会の多くの部門を巻き込んだ、ラウダート・シの精神を実現する具体的な行動計画を作成しています。そのキーワードはエコロジカルな回心(回勅の216項以下)と総合的エコロジー(回勅の137項以下)。そして同部署では、ラウダート・シに基づいた7つの目標を掲げています。この目標については、東京教区広報で抄訳を準備中ですので、間もなくホームページに掲載される予定です。

    もちろんこれらの目標や取り組みは、神の計画を実現するためであり、すべての人にイエス・キリストの福音を告げしらせることを、その基礎においてることは、言うまでもありません。エコロジカルな回心を語る教皇フランシスコは、「生態学的危機は、心からの回心への召喚状」だと記し、「熱心でよく祈ってはいても、・・・環境への関心を嘲笑しようとするキリスト者がいると言うことも知らねばなりません」と記します。その上で、「そうした人々皆に必要なものは『エコロジカルな回心』であり、それは、イエス・キリストとの出会いがもたらすものを周りの世界とのかかわりの中であかしさせます。神の作品の保護者たれ、との召命を生きることは、徳のある生活には欠かせないことであり、キリスト者としての経験にとって任意の、あるいは副次的な要素ではありません」と指摘しています。(217)

    さて、例年、聖霊降臨の主日には、午後から東京カテドラル聖マリア大聖堂で、教区の合同堅信式を行っていました。残念ながら、昨年と同様、現在の状況のため、合同堅信式を行うことが出来ません。またこれまでは、なるべく司教が小教区を訪問して堅信式を行ってきましたが、このような状況下で司牧訪問も適わず、小教区での司教司式の堅信式を行うこともできていません。すでにいくつもの小教区でおこなわれていますが、現在の状況が続く中ですので、主任司祭に堅信を授けるようにと委任しております。一日も早く、安心して皆で集まって祈り、賛美と感謝をささげる事が出来るようになる日が来ることを願い、祈り続けましょう。また病床にある方々の回復のため、医療関係者の健康のため、祈り続けましょう

    以下、22日午後6時配信の、週刊大司教第27回のメッセージ原稿です。
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    聖霊降臨の主日
    週刊大司教第27回
    2021年5月23日前晩

    「霊の結ぶ実は愛であり、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制です」

    五旬祭の日に聖霊を受けることで誕生した教会共同体は、「霊が語らせるままに、ほかの国々の言葉で」神の福音を語り始めました。パウロはその教会が、「霊の導きに従ってまた前進」し続けることで、どのような実りを生み出すのかを明確にします。

    ヨハネ福音は、「真理の霊が来ると、あなた方を導いて真理をことごとく悟らせる」と語るイエスの言葉を記して、教会共同体が、常に聖霊によって真理へと導かれていることを明確にします。

    第二バチカン公会議の教会憲章は、教会に聖霊が与えられたことによって、「聖霊は教会の中に、また信者たちの心の中に、あたかも神殿の中にいるかのように住み、彼らの中で祈り、彼らが神の子となったことを証明する」と記します。

    その上で、「福音の力を持って教会を若返らせ、たえず新たにし、その花婿との完全な一致へと導く(4)」のは、聖霊であると明示します。

    教会は、常に聖霊に満たされ、聖霊によって導かれています。第二バチカン公会議の現代世界憲章は、「神の民は、世界を満たす主の霊によって自分が導かれていることを信じ、この信仰に基づいて、現代の人々と分かち合っている出来事、欲求、願望の中に、神の現存あるいは神の計画の真のしるしを見分けようとつとめる(11)」と記します。すなわち、教会は社会の現実から切り離された隠れ家となるのではなく、積極的に社会の現実を識別し、神の計画を見極めるために出向いていく存在であります。

    聖霊の導きに信頼していますか。社会の現実に働く神の力を識別し、時のしるしを読み取り、聖霊の導きに身をゆだねているでしょうか。わたしたちが生み出すべきは「愛、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制」という聖霊の実りです。常に若返り、新たに変えられていく勇気がありますか。すべての人に理解される言葉で、福音を語り続けているでしょうか。現代世界憲章が、「現代の人々の喜びと希望、苦悩と不安、特に貧しい人々とすべて苦しんでいる人々のものは、キリストの弟子たちの喜びと希望、苦悩と不安でもある」と、その冒頭に記していることを、常に心に留めたいと思います。

    感染症への対応が社会にさまざまな影響を及ぼしています。病床にあっていのちのために闘う人たちのために、またいのちを救うために奮闘される医療関係者に心からの敬意をもって、祈ります。そして、この困難な状況の一日も早い終息を求めて、祈り続けましょう。

    同時に、感染症対策に伴って、経済が悪化し、生きる困難を抱える人たちが増え、さらには自殺・自死も、とりわけ若い世代で増加していると指摘されています。闇の中を歩む不安な心は、寛容さをわたしたちから奪っています。法的立場や国籍をこえて、また社会的背景をこえて、助けを求めている多くの人たちを、まず守ろうとする寛容な社会でありたいと思います。いのちを守ることを最優先とする社会の実現は、現代社会にあって聖霊に導かれる教会にとって、まさしく自分たちの問題であります。

    聖霊降臨を祝う今日、わたしたち現代社会に生きる教会共同体は、あらためて聖霊に満たされ、聖霊の導きに信頼し、その実りをわたしたちの言葉と行いを持って生み出すことが出来るように、努める決意を新たにいたしましょう。

    東京大司教タルチシオ菊地功