大司教

教皇庁からのゆるしの秘跡と特別免償に関する通達について

2020年03月26日

カトリック東京大司教区の皆さんへ

カトリック東京大司教区 大司教
菊地功

教皇庁からのゆるしの秘跡と特別免償に関する通達について

使徒座裁判所内赦院から、3月19日付で、現在の新型コロナウイルス感染症の拡大によるパンデミック状況の中で、ゆるしの秘跡をどのように取り扱うかに関連して通達がありました。また特別免償の教令も出されています。

同通達ならびに同日付の教令に基づいて、現在の状況下でのゆるしの秘跡に関して、東京大司教区の信徒の皆様に、以下のようにお知らせいたします。

1:ゆるしの秘跡が必要な方は、主任司祭・助任司祭にご相談ください。ただし、それぞれの小教区で事情が異なるとは思いますが、原則としていわゆる「告解室」を使用しないようにと司祭に通達いたしました。
基本的にゆるしの秘跡は、密閉空間である従来の箱形や個室型の「告解室」を利用しないで、会議室、応接室など、プライバシーが保たれ、かつ充分に換気が可能で、距離を置いて着席ができる場所で、互いにマスクを着用の上、とりおこないます。

2:教会法961条第1項2号には、「重大な必要性がある場合」、一般赦免を与える可能性が定められています。一般赦免とは、個別の告白を伴わないで、多数の人に同時に罪のゆるしを与えることを言い、生命の危険が差し迫っているなどの「重大な必要性」があるときにのみゆるされています。内赦院は、今般の事態にあって、特に感染が拡大している地域においては、おさまるまでの間、「重大な必要性」が発生していると判断しています。

ただし、一人ひとりに、その都度個別に一般赦免を与えるということではなく、多数の信徒がゆるしの秘跡を求めていて、それぞれが事態が落ち着いてから「いまは一つずつ告白できない重大な罪を適切なときに告白する決心」(962条1項)をしている場合が、その可能性の対象となります。

それぞれの小教区の状況に応じて必要な対応は異なりますが、東京教区の主任司祭には、今回の事態にあたって一般赦免の機会を設ける許可をいたしました。

3:また同日付で、内赦院からは、新型コロナウイルス患者とその家族、医療関係者をはじめ、このパンデミック危機下にあるすべての信者らに、特別免償を定めた教令が発表されています。同教令には主に、以下の四点が記されています。

「新型コロナウイルスによって苦しみ、保健当局の規定により病院もしくは自宅に隔離されている信者に対して、以下の条件のもと全免償を付与します。
自らの霊魂からあらゆる罪を遠ざけ、何らかの通信手段を用いて、ミサ聖祭、聖なるロザリオの朗誦、敬虔なる心による十字架の道行きやその他の形態の献身、あるいは最小限の要件として、敬虔な心で信仰宣言、主の祈り、そして聖なる処女マリアへの祈りの朗誦に精神的に参加し、これを神への信仰と隣人へのいつくしみと愛を持って行うこと。かつ状況が可能になり次第、通常の要件とされる、ゆるしの秘跡、聖体、教皇の意向に従う祈りをささげることを満たす意思を有していること。」

「医療従事者、家族、その他関係者は、善きサマリア人の模範に倣い、自らも感染の脅威にさらされながら、贖い主の言葉に従いコロナウイルス患者の看護を行っている。「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない」(ヨハ15:13)のです。これらの人々は、同条件のもとで全免償の恩恵を受けることができます」

「今回の感染症の世界的流行に際して、感染の終息と、これに苦しむ人々への慰め、そして主が自らのもとへ呼び寄せられた人々の永遠の救いを全能の神に祈願するために、聖体訪問、聖体礼拝、最低30分間聖書を読むこと、聖なるロザリオの朗誦、敬虔なる十字架の道行きの実践、神のいつくしみへの祈りの花束の朗誦のいずれかを行った信者に対しても、上記同じ要件において全免償を積極的に付与するものとします」

「教会は、これまで病者の塗油や臨終の聖体拝領(viaticum)を受けることのできない人々のために祈りを捧げ、聖徒の交わりの力により、すべての人を一人ひとり神の慈悲に委ねて、臨終にある信者が赦免を受けるに相応しい心構えを持ち、生涯を通して何らかの祈りを唱えることを常としていた場合は、この信者に対して全免償を授けています(この場合、通常の3つの必要条件を満たすための行動は教会が代理する)。当該免償を受けるためには、十字架のキリスト像もしくは十字架を用いることが推奨されています」

なお免償とは、罪のゆるしではありません。カテキズムの要約によれば、「免償は、罪過としてはすでに赦免された罪に対する有限の罰の神の前におけるゆるしです」とされ、「有限の罰」を免ずることです。なお免償は自分のためだけではなく、すでに亡くなった方々のためにも得ることができます。

以上

 

註:「免償」に関する補足

免償とは、ゆるしの秘跡の代わりになるものではありません。ゆるしの秘跡の最後には司祭から果たすべき「償い」が言い渡されますが、免償を受けることによって、この「償い」が全面的に(全免償)、あるいは部分的に(部分免償)、果たされたとみなされます。