大司教

クリスマスと新年のお慶びを申し上げます

2020年01月01日

大司教 タルチシオ 菊地 功

昨年末の教皇フランシスコ訪日の興奮も冷めないうちに、新しい年がはじまりました。教皇フランシスコが残した力強い「言葉」は、私たちキリスト者のみならず、日本の人々や社会全体にもある意味で衝撃を与えました。教皇訪日を一過性のイベントに終わらせることのないように、新しい年2020年は、教皇が発信されたこの大切なメッセージを、受け止め、深め、さらに広く展開していく一年にしたいと思います。教皇の模範に習い、教会は社会にあって、力ある生きた「言葉」を語る存在でありたいと思います。

昨年は日本開催のラグビーW杯で盛り上がりましたが、今夏にはオリンピック・パラリンピックが開催されます。東京をはじめ日本各地に、世界から多くの訪問者があることでしょう。東京教区としても、世界各地から訪れる兄弟姉妹のために、祈りと出会いの場を提供したいと思います。

教区の宣教司牧方針に関しては、皆様からご提案いただいた意見をまとめ整理したものを、まもなく中間報告として提示いたします。これに基づいて、具体的に優先するべき課題を絞り込みながら、組織や制度に関して必要な見直しを進めます。それに伴って、昨年は休会していた教区宣教司牧評議会を再開し、この議論の場を中心にして教区全体の意見を集約しながら、年末までには、教区が進む方向性を指針として明確に示したいと考えています。

社会全体と同様に、教会においても少子高齢化が進んでいます。若者の姿が見当たらないのは事実ですが、しかし若者が存在しないわけではありません。教皇が東京カテドラルで青年たちに呼びかけたように、「夢を黙殺したり、ぼやかしたりせず、視野を広げ、広い地平を目指すことに熱意を燃やして、待っている未来を見つめ、ともに夢を実現する熱意をもちましょう」と、東京教区の若者たちにあらためて呼びかけます。教皇の言葉に励まされて、恐れずにチャレンジする若者が多数出現することを期待しています。

神のいつくしみを具体的に表す存在として、教会が社会の直中で、多様性のうちに排除することなく、互いに支え合いながら、与えられた福音宣教の使命を果たしていくことができますように。新しい年の初めにあたり、皆様の上に、いつくしみ深い御父の祝福を祈ります。