大司教

2024年 四旬節の始まりにあたって

2024年02月14日

2024年 四旬節の始まりにあたって

今年は3月末日が復活祭ですので、例年より早く四旬節が始まりました。

四旬節は、心を落ち着け、神様の方向をしっかりと向いているかどうかを振り返り、軌道修正をするときです。もっとも1月から3月の一年の初めの三ヶ月間は、様々な現場で年度末にあたるため、日々の忙しさにかまけて、あっという間に時間が過ぎ去ってしまうときでもあります。なんとか心を落ち着けて、祈る時間をとるように、努力をしたいと思います。

毎年、四旬節は灰の水曜日で始まります。灰を頭に受けることには、自分の存在のはかなさを思い知る意味があります。人間という存在が神の前でいかに小さなものなのか、神の偉大な力の前でどれほど謙遜に生きていかなくてはならないものなのか、心に刻みたいと思います。

司祭は、「回心して福音を信じなさい」、または伝統的な「あなたはちりでありちりに帰っていくのです」のどちらかの言葉を唱えて、灰で額に十字架の記しをしたり、頭にかけたりします。前者は、あらためて自分たちの信仰の原点を見つめ直し、神に向かってまっすぐに進めるように軌道修正をするということを明示しています。後者は、神の前で人間がいかに権勢を誇ろうとも、小さなむなしい存在であることを自覚して謙遜に生きるようにと諭す言葉です。自らの生き方を振り返るときにいたしましょう。

世界は今、神からの賜物であるいのちを、まるで自分たちが支配しコントロールできるかのような錯覚の中で、傲慢に生きる人間の罪に満たされています。その結果が、各地で続く、いのちに対する暴力的行為、特に、ウクライナやミャンマーや、ガザで継続する紛争状態です。
 
わたしたちは、互いに助け合うものとなるように、このいのちを与えられているはずです。世界を支配する暴力による敵対の誘惑を乗り越え、ともに助け合いながら道を歩みたいと思います。互いに支え合って、聖霊の導きを識別し、正しい道を求めて歩み続けたいと思います。シノドスの道を歩む神の民でありたいと思います。

四旬節はまた、信仰の原点に立ち返る時として、洗礼を志願する人たちと歩みをともにし、復活祭に洗礼を受ける準備をするように勧められています。このことから四旬節第一主日には、その年の復活祭に洗礼を受けるために準備をしている方々の洗礼志願式が、多くの小教区で行われます。四旬節は、自らの信仰を見つめ直すとともに、洗礼への準備をする方々を心に留めて祈りをささげるときでもあります。

良い心の準備を過ごされますように。