教区合同堅信式説教―聖霊の恵みを生きる

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2014年6月8日 聖霊降臨の祭日 東京カテドラルにて

第一朗読 使徒言行録2・1-11
第二朗読 一コリント12・3b-7,12-13
福音朗読 ヨハネ20・19-23

説教

聖霊降臨の日を迎えました。今日の第一朗読の「使徒言行録」は聖霊降臨の場面を伝えています。聖霊が「舌の形をした炎」となって弟子たちに上に降りてきたのでした。

聖霊、神の霊は、もともと神の息を意味しています。聖書は神がご自分の息で世界を創造し、人間を造り、また絶えず世界を新たにしていることを教えています。

また聖霊は主イエス・キリストの霊であります。キリストは聖霊降臨のときに使徒たちにご自分の霊を注ぎ、教会を設立しました。今日のヨハネの福音がのべているように、使徒たちはキリストの息を受けて罪の赦しを受け、さらに聖霊を受けることにより、同時に人々に罪の赦しをもたらし伝える者となりました。使徒たちは世界中に派遣されてキリストの弟子をつくり、教会を建設しました。いま教会は全世界に広がる、大きな神の家族となっています。

人間の体が、種々の多くの部分から成り立っているように、教会も、異なる働きをするさまざまな人々から成り立っています。今日堅信を受けられる皆さんひとり一人に神はそれぞれの役割を授け、それを果たすために必要な聖霊の賜物をお与えになります。

教会の歴史を振り返ると、イエスの教えと生涯に忠実に生き、深い信仰をもって英雄的な徳を実行し、美しい生涯を送った方々がいます。

今日はそのような人の一人であるエリザベット・マリア北原怜子(さとこ)さんの生涯を思い起こしたいと考えました。

『蟻の町のマリア』として有名になった「主のはしため エリザベット・マリア北原怜子」さんは1929年に生まれ1958年1月23日、まだ28歳の時に地上の生涯を終えました。東京教区の潮見教会は毎年、命日の頃、エリザベット・マリア北原怜子を記念するミサをささげています。

エリザベット・マリア北原怜子さんは、「東京で戦争の犠牲になり、顧みられなかった貧しい人々に喜びをもって自らを与え」、「また汚れなきみ母マリアのご保護のもとに小さな人々の育成と援助に愛をもって生涯を捧げ」た方でした。(「主のはしため、エリザベット・マリア北原怜子の取次ぎを求める祈り」より)

「蟻の町」とは、敗戦後焼け出された貧しい人々が集まって肩を寄せ合い、助け合いながら住んでいた地域です。現在は隅田公園となっています。その「蟻の町」に北原さんも住み、人々と一緒に生活し、ご自身、廃品回収の仕事を行いました。厳しい生活のなかで病気のため、まだ若いうちに帰天されました。

2008年1月、潮見教会で北原怜子さん帰天50周年の記念行事が行われ、わたくしがミサを捧げました。その時に生前の北原怜子さんと一緒に生活していた外側志津子さんというかたの講演がありました。北原さんは狭い粗末な小屋に住み、病床にあっていつも窓から外を通る人に微笑みを送って励まし慰めていた、と外側さんは語りました。 

今の社会の状況は50年以上前とすっかり変わってきています。この間に日本は経済的には大いに発展しましたがその代わりに、何か大切なものをなくしています。孤立し孤独に苦しむ人が増えました。

教皇フランシスコは使徒的勧告『福音の喜び』(2013年11月24日発表)のなかで、現在の消費主義と利己主義の生き方を戒め、キリストの生き方に倣い、聖霊の導きを受けて、自分から出て隣人に自分を与える生き方、物にとらわれない簡素な生活をするようにと、説いています。

北原さんの生涯はまさに教皇の教えをそのまま実行した生涯だった思います。今日は合同堅信式にあたり、わたしたち一人ひとりが主のはしため エリザベット・マリア北原怜子さんの生涯に倣って生きていくことができるよう祈りたいと思います。

「慈しみ深い主なる神よ、あなたに真心をもって祈るわたしたちに、言葉と行いの一致のうちに信仰を証ししてゆく力を与え、あなたを求めるすべての人に信仰の光を与えてください。またいま信頼をもって祈るわたしの願いを聞き入れてください。わたしたちの主イエス・キリストによって、アーメン。」