帰天司教司祭合同追悼ミサ説教(司祭月例集会)

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    2010年11月29日 司祭月例集会
    東京カテドラル聖マリア大聖堂にて

     

    聖書朗読  ローマの教会への手紙(8・18-25)

    福音朗読 ヨハネによる福音(14・1-6)

     

    使徒パウロはローマの教会への手紙の中で「希望」について述べています。その希望とは、救い、あがないへの希望です。その希望はすべての被造物に当てはめられる希望です。「被造物も、いつか滅びへの隷属から解放されて、神の子たちの栄光に輝く自由にあずかれる」(ローマ8・21)という希望であります。

    パウロによれば、人類だけでなく被造物もイエス・キリストのあがないと解放の恵みにあずかることができるのです。あがないと解放の実現のあり様はヨハネの黙示が伝える「新しい天と新しい地」(黙示21・1)のことであろうと思います。人がかつて見たことも聞いたこともなく、心で思ったこともない栄光の状態にこの世界は刷新され、神の創造の働きが完成するのです。わたしたちは、まだ見ていない新しい天、新しい地の到来を待ち望む「このような希望によって救われている」(ローマ8・24)のです。

    主イエス・キリストは「わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、誰も父のもとへ行くことができない」と言われました。わたしたちは道である主イエスへの信仰を通して父の家へ迎え入れていただけると信じています。そしてさらに、イエス・キリストの再臨の時には、神のご計画が成就し、この宇宙が完全に新しくされ、神の創造が完成すると信じます

    教会はこの信仰を宣べ伝えるという使命を主イエスから受けているのです。

     

    今日はわたしたちに先立って父の家へ旅立たれた司教様方、神父様方の生涯とその働きを偲ぶ日であります。

    この1年の間に白柳枢機卿様はじめ多くの司祭方が帰天されました。あらためて謹んでなくなられた司教、司祭の皆様の方々の永久の平安をお祈りいたしましょう。

    わたくしは2000年9月に東京大司教に就任いたしました。その際、歴代の大司教様方のお墓参りをする決心を立てました。そのためにまず歴代の大司教様方のお墓が何処にあるのか、調べてもらいました。そして実行は簡単なことではないことが分かりました。一人の方のお墓は故郷のフランスにあり、もう一人の方は横浜の外人墓地にあることが分かりました。

    2008年、パリでパリ外国宣教会創立350周年記念式典があり、わたくしは司教協議会会長として日本の司教を代表して式典に参加しました。そしてその機会にシェガレ管区長のご好意で、ゲタリというところにあるムガブル大司教のお墓参りを果たしました。アジサイの季節でありました。

    5人のパリ外国宣教会の大司教の最後の方はアレキシス・シャンボン大司教様です。1937年横浜教区創設と共に横浜の司教になられ、1948年帰天されました。お墓は横浜外人墓地の中にあります。靖国神社参拝問題で大変苦慮なさった大司教です。

    初代のピエール・マリ・オズーフ大司教、第3代のフランソワ・ボンヌ大司教、第4代のジャン・ピエール・レイ大司教のお墓はともに都内の青山霊園にございます。麻布教会が丁重に墓守をしてくださっております。

    初代ピエール・マリ・オズーフ大司教は1876年日本使徒座北緯代理区司教、1891年、東京大司教になられました。自由民権運動家として有名なカトリック信者であった山上卓樹という方がいました。1927年、山上卓樹はオズーフ司教就任のころのパリ外国宣教会の福音化の働きについて、「燎原の火の如く」という表現を残しています。当時の宣教が如何に力強く勢いがあったかを表す表現であると思います。

    オズーフ司教のもとで働いたパリ外国宣教会の司祭に、有名なテストヴィド神父がおります。彼はハンセン病者のために神山復生病院を創設しただけでなく、被差別部落に福音を伝えた福音宣教者でありました。その間の事情は、東京教区部落問題委員会編集の啓発ビデオ(DVD)『絹の道の宣教』に描かれております。

    かつて「燎原の火」といわれた教会の福音化の働きは現在のわたしたちの教会ではどうなっているでしょうか?

    日本の司教団は第2ヴァチカン公会議の教えに従って、1987年に第1回福音宣教推進全国会議を開催しました。今その成果が問われています。再来年の2012年は第2ヴァチカン公会議開催50周年の年です。

    わたしたち東京教区は3つに優先課題を掲げて福音化の使命に取り組んでおります。今のわたしたちには「燎原の火」のような勢いはありませんが、もし聖霊の助けを豊かに受けることがあれば、再び「燎原の火」のような福音化の働きができるのではないか、と希望しております。

    本日はパリ外国宣教会の司教、司祭の皆様の働きに心からの感謝をささげるとともに、わたしたち現代の教会の司教、司祭がよりよく聖霊の勧めに従うことができますよう祈りましょう。