神田教会堅信式説教

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    2010年6月27日 神田教会にて

     

    皆さん、今日は、これより堅信式が行われます。堅信を受けられる皆さん、そして今日このミサに参加されている皆さん、あらためてわたしたちはこの東京という日本の中心である場所において、どのような教会の使命を受けているのかということを御一緒に考え、祈り求めたいと思います。

    今読まれましたルカの福音(ルカ9・51-62)の中で、イエスは言われました。「鋤に手をかけてから後ろを顧みる者は、神の国にふさわしくない。」イエスに従う人に対して、せめて家族にいとまごいをさせたらどうかと思うかもしれませんが、イエスはすぐに私に従って来なさいと言われました。今日の第1朗読におきまして、エリヤという預言者がエリシャを召し出した話が出ております。こちらのほうでは、エリシャが家族とそして近所の人と別れの食事をすることが記されております。旧約聖書とそして福音書の間にある違いが見えてまいります。ちなみにこのエリヤという人は、非常に激しい性格の預言者であったのでしょうか。自分を捕えに来た兵士たちのうえに、神の火を降らせて焼き滅ぼした(列王記下1・10)ということが列王記に出ております。またこのエリヤの精神を受け継いだエリシャも同じように激しい面をもっていたようで、少し分かりにくい話ですが、小さな子どもたちがエリシャを見て、「はげ頭、上って行け。はげ頭、上って行け」と言ったということがでているんですね。〔エリシャは〕頭が禿げていたんでしょうか。それでエリシャは、「振り向いてにらみつけ、主の名によって彼らを呪うと、森の中から二頭の熊が現れ、子供たちのうちの四十二人を引き裂いた。」(列王記下2・23-24)という恐ろしい話が出ております。

    今日の福音では弟子のヤコブとヨハネが、サマリアの人々に対して、「主よ、お望みなら、天から火を降らせて、彼らを焼き滅ぼしましょうか」と言われたとあります。このエリヤがしたことを思い出させる言葉であります。「イエスは振り向いて二人を戒められた。」イエスは違う生き方をお示しになられました。

    わたしたちイエスに従う者は、どのように歩んでいったらよいでしょうか。地上でイエスに出会った人は、直接イエスから声をかけられてイエスの弟子になりました。ペトロのような弟子たちのことを思い出しましょう。そのイエスは天に昇られ、そして弟子たちに聖霊を注いで、聖霊降臨の日にわたしたちの教会を作ってくださいました。今わたしたちは聖霊の導きを受け、聖霊に従って、イエスに従う。イエスの弟子として従う者となっています。

    パウロのガラテヤの教会への手紙(ガラテヤ5・1、13-18)の教えを、今日深く味わいたいと思います。「霊の導きに従って歩みなさい」と言っています。霊の導き、つまり神の霊、聖霊の導きに従って歩みなさいということであります。そして肉の業を退け、霊の実りをもたらすように生きていきなさい、と言っておられます。霊のもたらす実りは、「喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制です」(ガラテア5・22-23)と、このガラテア書で述べております。わたしたちは毎日、自分の心を振り返り、この聖霊の実りをいただいているかどうか反省したいと思います。わたしたちは肉の働きから解放され自由になり、そして霊の働きを豊かに受けて、この大都会の中でイエス・キリストの証人(あかしびと)になりたいと思います。

    教皇ベネディクト16世が即位されたときのミサの説教で、教皇様は「現代の世界には荒れ野がある」と言われました。私は東京教区において、荒れ野の中の泉、荒れ野の中のオアシスになるのがわたしたち教会の使命ではないかと思っております。このすばらしい神田教会の聖堂、そしてこの教会に集う皆さん、ぜひ大都会の中心にある教会として、人々に潤い、安らぎをもたらし、そして生命を支え養う荒れ野の中のオアシス、泉となるように努めていただきたいと思います。現代、生きるのがたいへんむずかしい状況があるのではないでしょうか。非常に疲れたり、イライラしたり、あるいは怒りっぽくなったりする人が増えているということを聞きます。他人のことを言う前に、私も自分自身がそういう問題をもっているなあということを感じております。東京教区で働いてくださっている神父様たちも、いろいろな問題、いろいろな課題をもっていて、そして疲れたりすることが多々あると思います。職場や学校などでも、お仕事が大変なのでお疲れになったり、イライラしたりすることもおありではないでしょうか。ぜひ、わたしたちは教会において、聖霊の導きを受け、心からの平和、安らぎを与えていただけるようにと祈りたいと思います。教会が荒れ野におけるオアシスとなるために、主イエス・キリストの霊を豊かに受けることができますよう、御一緒にお祈りいたしましょう。