カトリック東京大司教区 – 宣教協力体の今後について (2006年3月)

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    東京教区の皆様

    東京教区では2003年復活祭から宣教協力体を発足させました。それから丸3年が過ぎようとしていますが、この3年間、それぞれの協力体で「協力」という課題に取り組んでくださったことに感謝しております。多くの協力体では小教区を越えた信徒・司祭の交流と協力が目に見える形で行なわれました。しかし、ほとんど交流や協力が進まなかった協力体もありました。小教区間で交流や協力はできても、共通の「宣教課題」を見いだすことが困難だと感じられた宣教協力体も多かったようです。当初、宣教協力体が一つの小教区になることを目指すと謳いましたが、今の時点ではこの方針通りにはいかないと感じています。当分は「宣教協力体」として協力を続け、深めていただきたいと思います。

    この3年間で、予期せぬ速さで司祭の高齢化・働ける司祭の減少が進み、司祭の定住しない聖堂共同体の数が増えました。このことを考えるとき、司祭間の協力の新たな可能性(「共同宣教司牧」など)をもう一度真剣に検討する必要もあると考えられます。

    また、地域によって事情が異なり、将来的にも1つの小教区になることが不可能(あるいは適当ではない)と考えられる地域が多くあります。個々の地域の状況に応じた進め方を考えていく必要があります。宣教協力体の組み合わせについては、いくつか変更の提案がありましたが、結論を得るにはいたりませんでした。ただし、千葉の3つの協力体「安房・上総」「千葉中央」「千葉北東部」は協力体として存続しながら、かつての「千葉地区」のような、より密接な協力関係を作ってともに歩んでいくほうがよいと考えています。

    東京教区には、小教区でも分教会でもない「共同体」がかなりの数で存在しています。学校や修道院の聖堂に定期的に集まる共同体ですが、その多くは外国語のミサに集まる外国人の共同体です。これらの共同体も教区の宣教司牧ビジョンの中に位置づける必要を感じています。さらに女子修道会や小教区を担当していない男子修道会との連携も強化したいと考えています。 

    現在の東京教区で、司教としてもっとも心を痛めていることは、司祭同士、または、司祭と信徒のコミュニケーションの問題です。もちろんうまくいっているところが大部分ですが、一部でコミュニケーションが成り立たっていないという訴えを耳にします。

    司祭には、これまでのような主任司祭としての権限、責任に縛られている部分があります。しかし、司祭不足の現状からだけでなく、これからの日本の宣教司牧を考えたとき、本当の意味で「信徒が参加する教会」、「信徒がより主体的に責任をになう教会」を目指していかなければなりません。その中で、司祭は自分の司祭職を問い直すチャレンジを受けるでしょう。信徒の側にも、司祭と信徒の関係を問い直すというチャレンジが待ち構えています。これは避けて通ることのできない課題です。

    なお、3年前の「宣教協力体のための指針」を以下のように改訂しました(太字紺色部分)。

     

    Ⅰ.宣教協力体のあり方

    1.運営の基本方針は弾力的・段階的ということであり、教区全体の均一化をはかるのではなく、地域の特性や各宣教協力体の自主性が尊重されます。 

     

    2.世話人司祭

    宣教協力体を構成する聖堂共同体は相互に対等です。原則的に各聖堂共同体には主任司祭が置かれます。主任司祭は従来の権限と責任を保持します。

    司祭の一人が世話人となります。宣教協力体の司祭団の推薦に基づき、教区長が任命します(異動がない限り、任期は2006年復活祭から3年間になります)

    世話人の役割は次のとおりです。

    • 宣教協力体の代表者。
    • 宣教協力体協議会の主宰(準備・連絡・記録などは他者に委ねることができる)
    • 司祭間の連絡・調整役、司祭連絡会の主宰。教区長との連絡窓口。

     

    3.司祭連絡会

    宣教協力体の司祭は1~2ヶ月に1度連絡会を行い、宣教司牧の情報交換と司祭同士の協力について連絡・調整をします。

     

    4.宣教協力体協議会

    • 宣教協力体は少なくとも2~3ヶ月に1度、協議会を開催します。
    • 各聖堂共同体の主任司祭(その代理)と信徒の代表は必ず出席しなければなりません。
      信徒の代表は各聖堂共同体の司牧評議会のメンバーであることが適当です(ただし、特定の信徒に過大な負担がかからないような工夫も必要でしょう。また、人数については各宣教協力体・聖堂共同体の事情に合わせて決めてください)。
      また、必要に応じて助任司祭・協力司祭・広域の外国人司牧を担当する司祭や、修道院・カトリック施設の代表も参加できるよう配慮すべきです。
    • 協議事項は以下の通りです。
      1.地域におけるニーズとそれへの応答
      2.福音的使命に関する活動の相互連絡や聖堂共同体間の交流についての検討
      3.共同で行う典礼、集会、行事などの検討
      4.必要な場合、経費負担の取り決め

     

    5.活動報告と振り返り

    宣教協力体は教区長に対して年に一度その活動を報告してください。

    1. 協議会のメンバー
    2. 開催日時と場所
    3. 会議運営の仕方
    4. 協議会の主な内容と実施された協力体としての活動

     

     

    Ⅱ.聖堂共同体のあり方について

    宣教協力体はいくつかの聖堂共同体によって構成されています。聖堂共同体のあり方については近い将来、基本的な事項について教区として統一的な基準を作る必要があります。宣教協力体となった聖堂共同体同士が互いに知り合い、話し合い、協力しあっていく経験の中で、どのような点を統一すべきか、どのような規約が必要か、が見えてくるだろうと期待しています。現時点では、聖堂共同体のあり方について特に留意していただきたい点だけを以下に述べます。

    聖堂共同体の司牧者と信徒のよりよい協力関係を築き、宣教する共同体に育成していくことは、わたしたち東京大司教区の重要な課題です。その際、次の教えを深く心に留めなければなりません。

    第2ヴァチカン公会議『教会憲章』の教え(37項より)

    「信徒は自分の必要と望みを、神の子らとキリストにおける兄弟にふさわしい自由と信頼をもって牧者に表明すべきである。信徒はその知識、才能、識見に応じて、教会の利害に関する事がらについて自分の意見を発表する権利、ときには義務をもっている。このような場合には、教会がそのために制定した機関を通して行うべきであって、常に真実と勇気と賢慮をもって、聖なる職務のためにキリストの代理をつとめる人々に対する尊敬と愛のうちに行わなければならない。」

    「聖なる牧者は、教会における信徒の地位と責任を認め、またこれを向上させなければならない。信徒の賢明な助言をこころよく受け入れ、教会の奉仕のために信頼をもってかれらに任務を委ね、行動の自由と余地を彼らに残し、さらに、彼らが自発的に仕事に着手するよう激励しなければならない。また信徒から提案された創意、要求、希望を、キリストにおける慈父としての愛をもって慎重に考慮しなければならない。」

     

    1.呼称

    宣教協力体が発足する2003年4月20日の時点で、東京教区の小教区・分教会は「聖堂共同体」という位置づけになりました。しかし各聖堂共同体は教会法的には従来どおり「小教区・分教会」と言うことができますし、対外的には従来どおりの名称、例えば「関口教会」という名称を使用し続けることになります。

     

    2.責任者

    聖堂共同体の責任者は従来どおり主任司祭です。主任司祭は各聖堂共同体の宣教司牧、建物の管理・教会会計について最終的な責任を負っています。しかし、主任司祭は一人でこれらのことを行うのではなく、他の司祭・修道者、そして特に多くの信徒との対話・協力の中でその責任を果たしていくことが必要であり、大切なことです。

    なお、いろいろな事情から「小教区管理者」という任命もあります。主任司祭が数年間、継続的に小教区を担当するのに対し、一時的に責任を持つ司祭が小教区管理者です。責任と権限は主任司祭とほとんど同じです。

     

    3.信徒の参加の場としての評議会

    ほとんどの小教区には信徒が教会の運営に参加する場として、「教会委員会」「小教区運営委員会」「財務委員会」などと呼ばれる組織があります。東京教区では統一した名称がありませんので、以下では教会法の用語を用いて「司牧評議会」「経済問題評議会」と呼びます(教会法は、教会の重要な課題を「経済問題」と「司牧」という2つの面に分けて考えています。ここでいう「司牧」は、福音を告げ、人々の世話をする教会の活動全体を指しますから、日本語ではむしろ「宣教司牧」と考えたほうが分かりやすいでしょう)。

     

    4.司牧評議会(新教会法典536条)

    司牧評議会は単なる利害調整のための会議ではありません。教会の活動全体について、福音に沿った決定を目指して話し合う機関です。重要なことがらは、司祭抜きで決めることはできませんし、また、信徒を無視して司祭だけで決めることもできません。

     

    5.司牧評議会委員の選任

    司牧評議会委員の選任には共同体のメンバーの意思がよく反映されるよう配慮します。主任司祭は公正な選任が行われるよう留意しなければなりません。

     

    6.経済問題評議会

    聖堂共同体(小教区)の財産管理と会計を担当する「経済問題評議会」を設置しなければなりません(新教会法典537条)。経済問題評議会は教会の財務に関して司祭を助け、信徒の専門的な知識を生かし、また信徒の声を反映させるための機関です。種々の事情で困難であれば「司牧評議会」にその役割を兼ねさせることができます。

     

    7.信者総会(信徒総会)

    多くの教会では、信徒の誰もが参加でき、信徒の声を聞く機会として信者総会(信徒総会)が行われています。そのような場は、聖堂共同体の重要事項を話し合い、共同体としての合意を確認する場として活かすことが適当です。

     

    8.役職選任にあたっての司牧上の留意点

    一部の信徒に重い負担を負わせることのないよう、また同一人物が長い期間役職を占めることのないような配慮が必要です。また、女性と青年が教会の運営に今よりも容易に、よろこんで参加できるような措置も必要でしょう。

     

     

    Ⅲ.教区宣教司牧評議会について 

    教区の宣教司牧評議会は、東京大司教区の宣教司牧活動に関する諮問機関です。大司教の諮問に答え、あるいは大司教への提言を行い、場合によっては大司教より委託された事項の実施にあたります。

    第2期の宣教司牧評議会は2006年1月から2007年12月までの任期で始まりました。評議員は22の宣教協力体から信徒各1名、それに司祭・修道者若干名を加えた構成になっています。

     

    以上。 

    2006年3月27日

     


     

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