お知らせ

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カテドラルの大改修工事について

2006年07月28日

Prot.N.120/2006J

東京教区の皆様

カテドラルの大改修工事について

+主の平和

東京教区の司祭・信徒・修道者の皆様、いつも教区の働きにご理解・ご協力をいただきまして、ありがとうございます。

さてこの度、東京カテドラル聖マリア大聖堂の大改修工事をすることにいたしましたので、皆様のご理解・ご協力をお願いする次第です。

東京カテドラル聖マリア大聖堂は1964年12月8日、土井辰雄枢機卿によって献堂されました。

この大聖堂は著名な建築家である丹下健三氏の設計によるもので、十字架の形をした天井に8面の大きなステンレスの壁がテントのように組み合わされています。現代的で斬新なデザインであり、丹下氏の建築作品の代表作の一つに数えられています。献堂から42年間、叙階式をはじめとする教区典礼や、関口教会・韓人教会の主日のミサだけでなく、結婚式、コンサートなどさまざまな催しがここで行なわれてきました。

一方で当時の建築技術の限界もあり、当初から雨漏りの問題がありました。このために何度か大きな補修工事を行なってきて、現在は雨漏りの問題はほぼ解決されています。

しかし、カテドラルの建物全体はステンレスで覆われた特殊な形状のため、雨水が浸入することは避けられず、年月の経過によってステンレスを支えている下地の鉄骨や鉄のボルトが錆び、台風のときに屋根の一部がはがれるという事態が近年特に目立ってきました。もしも屋根の一部が強風で飛ぶようなことになれば、大事故につながりかねず、放置できない状態になっています。

他方、42年前と同じ方法で改修工事をしても結局は長年の間に同じ問題が起こります。そこで、施工した建設会社と度重なる協議をし、ほぼ完全に雨水の浸入を防ぐ新しい工法を提案していただきました。信者の建築士3名を含む教区の建築委員会で技術的な面での検討を重ね、新工法を採用することが妥当という専門家の一致した見解をいただきました。またカテドラルの建物本体のコンクリート劣化具合や耐震構造についても不安がありましたので、客観的な第三者機関に調査を依頼しました。そして、将来的にも良好・安全な状態を保持できるであろうし、耐震構造についても十分な安全度を保持しているとの報告を受けました。今回の改修工事を行なうことにより、カテドラルは今後数十年にわたり十分にこれを維持し使用することが可能であるという見通しを得ることができました。

同時に、司牧面と財政面からも諸機関、すなわち、本部司祭会議、宗教法人責任役員会、司祭評議会、宣教司牧評議会、経済問題評議会などで検討と論議を重ね、役員と評議員の皆様のご意見を伺ってまいりました。技術上、司牧上、そして財政上の課題すべてを総合的に検討し協議した結論として、この度の大改修工事実施を決意し決定した次第です。 

今回の工事はステンレスの外装全体をはがし、新工法に基づいて下地及び外装のステンレス全体を新しいものと取り替えるという大規模なものです。総工費は約8億円、工期は2007年1月から9月までの予定であります。

工事期間中、大聖堂そのものの使用はできますし、安全面でも万全の対策を施します。ただし、カテドラル構内の多くの部分が工事現場となるため、外来者の駐車場は確保することができません。ある期間、教会を訪れる方々だけでなく、聖園幼稚園の子どもたちと教職員の皆様にもいろいろとご不便をおかけすることになります。しかし構内における安全を確保し安心できるようにするためにも、工事はどうしても今回実施しなければなりません。皆様のご理解を重ねてお願い申し上げます。 

カテドラルについて、第二バチカン公会議の『典礼憲章』41項では次のように述べられています。

「すべての人は、司教を中心とした司教区の典礼生活、特に司教座聖堂(カテドラル)における典礼生活を最も大切にしなければならない。司教が司式し、その司祭団と奉仕者がこれを囲み、一つの祭壇の上で一つの祈りをもって行なわれる同じ祭儀、特に同じ聖体祭儀において、神の聖なる民全体が充実した行動的参加をもってこれにあずかるとき、教会が最もよく表明されるということを、すべての人が確信しなければならない。」

カトリック教会は、ローマ教皇を一致の要として全世界に広がるキリスト教会ですが、この普遍教会は、部分教会とも呼ばれる司教区のつながりによって成り立っています。東京カテドラルは、東京教区のカトリック信者が一つの神の民であることの目に見えるしるしであり、東京教区という部分教会の在り方、祈り、働きを具体的に表す場でもあります。皆様には是非、この機会に東京教区の神の民としての連帯とカテドラルの意味をご理解いただきたいと存じます。 

ところで、今回の大改修工事に際して信者の皆様に過大な経済的負担を負わせることはわたくしの望むところではありません。しかし、教区としては近い将来対応しなければならない、高齢司祭の住居建設、教区本部事務局の施設の充実、各小教区への支援などのための資金も留保しておかなければなりません。皆様にも献金をお願いいたしますが、具体的な改修計画と募金については後ほどあらためて皆様にお知らせいたします。 

この計画を決定し実施するために、わたくしは皆様からの精神的・霊的な支え、助けを大いに必要としております。

東京教区とカテドラルが多くの人のいやし、安らぎ、希望、救いのしるしとあかしとなることができますよう皆様の祈り、お力添えを切にお願いいたします。

東京大司教 ペトロ 岡田武夫


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