教区の歴史

教区の歴史

2015年・年始の集い挨拶

2015年01月12日

東京カテドラルにて

1.カテドラル献堂50周年

2014年12月に、わたしたちは、東京カテドラルの献堂50周年記念行事を実施いたしました。ケルン教区をはじめとする多くの皆さんの祈りと支援に改めて感謝いたします。
献堂50周年を記念し、教区の「祈りの家」の中心であるカテドラルの使命をより明確に示す為に、主日と祭日の晩の祈りを大聖堂で開始することにいたしました。
多くの皆さんの参加をお願いします。

 

2.東京教区の優先課題

2-0.はじめに

次の三つは、変わることのない東京教区の優先課題です。
「福音的使命を生きる ~新しい一歩のための提案~」2002年6月29日、参照)

1) 教会の福音的使命に携わる信徒の養成
2) 外国人の司牧と困難を抱えた外国人へのサポート
3) 心の病や心の傷を負った人々へのサポート

しかし、この13年の中で、これらの優先課題の表現や解釈には進展がありました。今年も種々の機会にこの課題の内容とその実施方法を検討し、また刷新し深める努力を重ねて行きたいと考えております。

2-1.信徒の養成に関連して

この養成の在り方については、二つのことが念頭にあります。
一つは、司祭と教会委員会(財務委員会)等の関係と協力に関わってくる養成、もう一つは、信仰年に際し行った信仰の養成講座等の継続と充実です。
まず、司祭と教会委員会(財務委員会)等の関係と協力に関わってくる養成ということについては、2003年の宣教協力体発足の際の「大司教指針『宣教協力体のための指針』(2003年2月24日)」※1の内容の確認と発展を考えています。

次に、信仰年に際し行った信仰の養成講座等の継続と充実ですが、福音宣教省からの要請を受けて、第二ヴァチカン公会議文書『教会の宣教活動に関する教令』『福音宣教』ほかの研修の機会を設けたいと考えております。そして、さらに、司祭評議会、宣教司牧評議会で信仰の生涯養成委員会の在り方を検討したいと思います。

2-2.多文化共生時代の教会として

カトリック東京国際センターCTICは、東京大司教区創立100周年記念事業として、1990年に設立され、今年25周年に当たり、教区を挙げてその使命と役割を確認するときを迎えています。
また教区の多国籍化という現実をすべての信者に認識していただき、CTICのみの課題としてではなく、教区のメンバー全員の課題としていただきたいと考えています。
各自が新しい多国籍・多文化共生共同体の建設のために力を合わせる時が来ていると思います。

2-3.心の問題

心の問題についても新しい段階に入っていると思います。わたしたちの周り、家族、友人、知人には、メンタルな問題や困難に出会っている人が少なくはありません。またわたしたちのなかにも心の問題を抱えている人がおります。

教会共同体はそのような人の安らぎ、救い、支えとなっているでしょうか。主イエスの生き方に倣って困難にある人を受け入れているでしょうか。

この問題を自分自身の問題としても、皆で考えてみたいと思います。

 

3.戦後70周年

戦後70周年を迎え、世界の平和のために特に祈り、そのために声を挙げ、働くときです。広島・長崎への原爆投下70周年を迎え、唯一の被爆国日本は核兵器廃絶のために今年は特に特別な働きが期待されています。

また、9月21日(月)より23日(水)まで、「正義と平和」全国集会・東京大会が開催されます。テーマは、「戦後70年の今こそ、地上に平和をー痛みを知る神とともにー」です。

皆さんのご理解、ご協力、ご参加をお願い足します。
と同時に今年の元旦の世界平和の日の教皇メッセージは肝に銘じて受け取り、現代の奴隷制を絶滅させるための戦いに協力しなければならないと思います。

 

4.聖書と祈り

これらの課題に取り組むためには何より聖霊の導きが必要です。日々祈り、聖書をよく味わい、そしてミサや教会の祈りを大切にするよう、心がけてください。

新年にあたり聖母マリアの取次を願って祈ります。

皆さんの健康が守られますように、
人々の心が聖霊の促しを受け入れ、
世界の平和のために、皆で小さな努力を積み重ねていくことができますように。

 

5.その他の事項

(1) 「日本におけるミサ中の聖体拝領の方法に関する指針」
(2) 教皇訪日、高山右近の列福
(3) 教区の財政の課題、司祭の健康の問題

 

 

※ 参考資料:当パンフレット1ページの項目「2-1.信徒の養成」の注(「※1」の印)に関する資料として、「大司教指針『宣教協力体のための指針』(2003年2月24日)」より、以下の文章を記載しておきます。

宣教協力体はいくつかの聖堂共同体によって構成されています。聖堂共同体のあり方については近い将来、教区としての統一的な規約を作る必要があると考えられます。

しかし、一方では、宣教協力体となった聖堂共同体同士が互いに知り合い、話し合い、協力しあっていく経験の中で、どのような点を統一すべきか、どのような規約が必要かが見えてくるとも考えられます。そこで、宣教協力体を発足させる現時点では、統一的な規約ではなく、聖堂共同体のあり方について特に配慮していただきたい点だけを以下に述べます。

聖堂共同体の司牧者と信徒のよりよい協力関係を築き、宣教する共同体に育成していくことは、わたしたち東京大司教区の重要な課題です。その際、次の教えを深く心に留めなければなりません。

第2ヴァチカン公会議『教会憲章』の教え(37項より)

「信徒は自分の必要と望みを、神の子らとキリストにおける兄弟にふさわしい自由と信頼をもって牧者に表明すべきである。信徒はその知識、才能、識見に応じて、教会の利害に関する事がらについて自分の意見を発表する権利、ときには義務をもっている。このような場合には、教会がそのために制定した機関を通して行うべきであって、常に真実と勇気と賢慮をもって、聖なる職務のためにキリストの代理をつとめる人々に対する尊敬と愛のうちに行わなければならない。」

「聖なる牧者は、教会における信徒の地位と責任を認め、またこれを向上させなければならない。信徒の賢明な助言をこころよく受け入れ、教会の奉仕のために信頼をもってかれらに任務を委ね、行動の自由と余地を彼らに残し、さらに、彼らが自発的に仕事に着手するよう激励しなければならない。また信徒から提案された創意、要求、希望を、キリストにおける慈父としての愛をもって慎重に考慮しなければならない。」

1. 呼称
宣教協力体が発足する2003年4月20日の時点で、東京教区の小教区・分教会は「聖堂共同体」という位置づけになります。しかし各聖堂共同体は教会法的には従来どおり「小教区・分教会」と言うことができますし、対外的には従来どおりの名称、例えば「関口教会」という名称を使用し続けることになります。

2. 責任者
聖堂共同体の責任者は従来どおり主任司祭です。主任司祭は各聖堂共同体の宣教司牧、建物の管理・教会会計について最終的な責任を負っています。しかし、主任司祭は一人でこれらのことを行うのではなく、他の司祭・修道者、そして特に多くの信徒との対話・協力の中でその責任を果たしていくことが必要であり、大切なことです。

3. 信徒の参加の場としての評議会
ほとんどの小教区には信徒が教会の運営に参加する場として、「教会委員会」「小教区運営委員会」「財務委員会」などと呼ばれる組織があります。東京教区では統一した名称がありませんので、以下では教会法の用語を用いて「司牧評議会」「経済問題評議会」と呼びます。(教会法は、教会の重要な課題を「経済問題」と「司牧」という2つの面に分けて考えています。ここでいう「司牧」は、福音を告げ、人々の世話をする教会の活動全体を指しますから、日本語ではむしろ「宣教司牧」と考えたほうが分かりやすいでしょう。)

4. 司牧評議会(新教会法典536条)
司牧評議会は単なる利害調整のための会議ではありません。教会の活動全体について、福音に沿った決定を目指して話し合う機関です。重要なことがらは、司祭抜きで決めることはできませんし、また、信徒を無視して司祭だけで決めることもできません。

5. 司牧評議会委員の選任
司牧評議会委員の選任には共同体のメンバーの意思がよく反映されるよう配慮します。主任司祭は公正な選任が行われるよう留意しなければなりません。

6. 経済問題評議会
聖堂共同体(小教区)の財産管理と会計を担当する「経済問題評議会」を設置しなければなりません(新教会法典537条)。経済問題評議会は教会の財務に関して司祭を助け、信徒の専門的な知識を生かし、また信徒の声を反映させるための機関です。種々の事情で困難であれば「司牧評議会」にその役割を兼ねさせることができます。

7. 信者総会(信徒総会)
多くの教会では、信徒の誰もが参加でき、信徒の声を聞く機会として信者総会(信徒総会)が行われています。そのような場は、聖堂共同体の重要事項を話し合い、共同体としての合意を確認する場として活かすことが適当です。

8. 役職選任にあたっての司牧者の留意点
一部の信徒に重い負担を負わせることのないよう、また同一人物が長い期間役職を占めることのないような配慮が必要です。また、女性と青年が教会の運営に今よりも容易に、よろこんで参加できるような措置も必要でしょう。