教区の歴史

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佐久間 彪 神父葬儀ミサ説教

2014年07月31日

2014年7月31日 東京カテドラルにて

[聖書朗読箇所]

説教

本日ささげる、ヨハネ・マリア・ヴィアンネ佐久間 彪神父様の葬儀ミサの第一朗読は、使徒パウロのローマの信徒への手紙の11章です。

ここでパウロは次のように言っています。

「すべてのものは、神から出て、神によって保たれ、神に向かっているのです。」(ローマ11・36)

この言葉は、ヨハネ・マリア・ヴィアンネ佐久間 彪神父様が生涯かけて伝えられた信仰告白を簡潔にあらわしていると思います。

この世界に存在するものはすべて神から出ています。宇宙はもとより、わたしたち人間も神によって造られました。神はすべてものを支え導き治めています。そしてすべてのものは神に向けられて存在し、神に向かって歩んでいます。終わりの日、すべては神のもとで新しい天と地として完成されるのです。

終わりの日、それは主の来臨の日であり、すべての被造物が主キリストの復活の栄光に与る日であります。 

わたしたち人間は神から出て神に帰るべき者です。聖アウグスチヌスが言っていますように、神に向けて造られた人間は、神の懐に入ってはじめて心からの安らぎに達することができるのです。

わたしたちは神から出てきたものですから、故郷である神への憧れをもっています。神への憧れは神への祈りとなり、賛美、願いとなって現われ伝えられます。 佐久間神父様は本当に多彩で豊かな才能に恵まれた方でした。神父様は神への賛美、祈りを絵画によって表現し、また神への賛美の歌を作詞作曲し、また神の愛を子どもたちに伝えるために、多数の童話を創作されました。神父様はご自分がいただいた才能を、神への賛美、キリストの福音を宣べ伝えるために惜しみなく活かされたのでした。

佐久間神父様は「内なる光」ということを言っておられます。(『神への憧れ』9㌻、オリエンス宗教研究所) 佐久間神父様の司祭としての働きは、いわば心の中を照らす「内なる光」の促しによって行われたものであるとわたくしは理解しました。「神は万人のうちに、この内なる光を注ぎ、神を知り、神を愛する道を整えてくださっている」(同書9㌻)と佐久間神父様は信じて生涯を歩まれました。 わたしたちは本日、佐久間神父様を通して伝えられた神の恵みに心から感謝いたします。

この世界の現実には受け入れがたい困難な問題が山積みしています。しかし、すべては神から出て、神によって保たれ、神に向けられているのです。そしてキリストの再臨によってすべての問題が克服されます。

佐久間神父様は神への憧れと希望を新たにして生涯を歩まれ、最後にすべてを天の父へゆだねられて司祭の召命を全うされました。

わたしたちも、どんな現実があっても、神への賛美と憧れに生き、希望をもって生涯を全うしたいと願います。