教区の歴史

教区の歴史

復活徹夜祭説教

2012年04月07日

2012年4月7日 東京カテドラル関口教会にて

 

第一朗読 創世記1・1,26-31a

第三朗読 出エジプト14・15-15・1a

第七朗読 エゼキエル36・16-17a,18-28

使徒書の朗読 ローマ6・3-11

福音朗読 マルコ16・1-7

 

復活徹夜祭は一年の典礼の中で、最も豊かな典礼です。

復活徹夜祭のミサのなかで洗礼式がおこなわれますのできょうは洗礼についてお話します。

復活徹夜祭のミサでは出エジプト記15章が必ず読まれなければなりません。エジプトで奴隷であったイスラエルの民は紅海を渡りエジプトから脱出し、エジプトでの隷属から解放されました。この出来事はあらかじめキリスト者の洗礼の意味を示していると考えられます。

元来、洗礼は、実際に体が水の中に沈められ、体が水の中から引き上げられるという儀式でありました。水に沈められるとは死ぬことを意味し、引き上げられる、とは新たに生きる、ということを現しています。

洗礼は「死から命へ」の過ぎ越しの神秘を現す秘跡です。それはキリストの十字架と復活の神秘に与かることによって、古い自分に死んで新しい命に生まれ変わることです。

古い人とは、罪に支配される人、罪の奴隷、という意味であり、新しい人とは神の命を受けた人、聖霊によって新たに生まれた人、を指しています。きょうの朗読で使徒パウロは教えています。

「わたしたちの古い自分がキリストと共に十字架につけられたのは、罪に支配された体が滅ぼされ、もはや罪の奴隷にならないためであると知っています。 死んだ者は、罪から解放されています。 わたしたちは、キリストと共に死んだのなら、キリストと共に生きることにもなると信じます。」(ローマ6・6-8)

エゼキエルの預言36章では、主なる神はイスラエルの民に「新しい心」「新しい霊」を与える、と預言しています。

「わたしはお前たちに新しい心を与え、お前たちの中に新しい霊を置く。わたしはお前たちの体から石の心を取り除き、肉の心を与える。また、わたしの霊をお前たちの中に置き、わたしの掟に従って歩ませ、わたしの裁きを守り行わせる。」(エゼキエル36・26-27)

今日の典礼の第一部は光の祭儀です。闇の中に復活のキリストの光がともりました。わたしたちはその光を受けて神の命に与るものとされます。死から命へ、闇から光への神秘がきょうの典礼のテーマです。わたしたちが日々、死から命へ、闇から光への神秘を生きることができますよう、ご一緒に祈りましょう。