教区の歴史

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世界病者の日ミサ説教

2012年02月11日

2012年2月11日 東京カテドラル関口教会にて

 

第一朗読 知恵の書11・23-26

第二朗読 ローマ8・18-25

福音朗読 マルコ1・29-34

 

今日はルルドの聖母の記念日です。

1858年2月11日、スペインとの国境に近いフランスのルルドというところで聖母マリアが少女ベルナデッタにご出現になりました。今日はこの出来事を記念いたします。

教皇ヨハネ・パウロ二世は、1984年2月11日のルルドの聖母の記念日に、「苦しみのキリスト教的意味」を説く使徒的書簡を発表し、さらに、1993年より、この日を「世界病者の日」と定めました。

東京教区では福祉委員会が担当して、「世界病者の日」の日にミサをささげ、そのあと懇親の機会を設けています。

世界病者の日には毎年教皇メッセージが世界中に届けられています。今年のメッセージは

「立ち上がって、行きなさい。あなたの信仰があなたを救った」(ルカ17・19)

です。

教皇はこのメッセージにおいて二つのいやしの秘跡、すなわち、「赦しの秘跡」と「病者の塗油の秘跡」について述べておられます。この機会にこの二つのいやしの秘跡についてより深く学び、また度々この秘跡に与るようお勧めいたします。

 

本日の福音は主イエスが多くの病人をいやし、また多くの悪霊を追い出したことを告げています。

主イエスのなさったことで非常に目立つことは、この「いやし」と「悪霊の追放」であります。「いやし」と「悪霊の追放」は神の国の到来のしるしでした。神の国とは神の支配であり、神の支配とは悪からの解放です。悪からの解放の代表が、病気・障がいの苦しみからの解放と悪霊の追放でした。

ところで、救いとは単に病気や障がいが いやされることだけではなく、罪の赦しを受けること、そして聖霊を受けて神の子とされること、心身が贖いを受けることであります。

パウロは本日の朗読で次のようにも言っています。

「被造物も、いつか滅びへの隷属から解放されて、神の子供たちの栄光に輝く自由にあずかれるからです。 被造物がすべて今日まで、共にうめき、共に産みの苦しみを味わっていることを、わたしたちは知っています。 被造物だけでなく、“霊”の初穂をいただいているわたしたちも、神の子とされること、つまり、体の贖われることを、心の中でうめきながら待ち望んでいます。」(ロマ8・21-23)

パウロは、被造物も解放、贖いを待っていると言っているのです。人間の救い、解放、贖われることは、宇宙全体の解放、贖いと結びついていると言っているように思います。

今日この東京カテドラルにお集まりの皆さん、皆さんは病気という苦しみを持っておられるかもしれません。あるいは、種々のほかの苦しみに巻き込まれておられるかもしれません。

主イエスはわたしたちの心も体も贖ってくださるだけでなく、この全宇宙を贖ってくださいます。世界において神のみ心が完全に実現する時が来ます。

この信仰と希望をもって、日々互いに愛のうちに苦しみ悲しみを分かち合えるよう、聖母の取り次ぎによって祈りましょう。

みなさんに主イエスのいやしの恵みが豊かに注がれますよう、聖母の取り次ぎによって祈ります。 アーメン。