教区の歴史

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復活徹夜祭ミサ説教

2010年04月03日

2010年4月3日 東京カテドラル聖マリア大聖堂にて

 

今日の復活徹夜祭の典礼のなかで洗礼式が行なわれます。洗礼を受ける方は信仰宣言をいたします。信仰宣言の冒頭の部分は、「天地の創造主」です。皆さんはまず、「天地の創造主、全能の神である父を信じます」と信仰告白をいたします。

今日はここにお集まりの皆さんとご一緒に、この「天地の創造主を信じます」という信仰について考えてみたいと思います。

わたしたちはこの世界は神が造られた世界であることを信じています。人間を含めて一切の存在は神によって造られました。しかも創世記一章によれば、神の造られた世界は「極めてよかった」のであります。しかし、この世界に悪が存在することは否定できません、何故神の創造したこの世界に悪が存在するのか?また何故罪という現実があるのでしょうか?この疑問にわたしたちは悩みます。

悪の存在について色々な説明が行なわれてきました。なかなか難しい問題です。

確かに神はこの世界をお造りになりました。しかし完成はまだです。神は、たえずこの世界を新しくされています。そして歴史の終わり、イエス・キリストの再臨のときに、神様は創造の業を完成してくださるのです。

あるいはこうも考えられます。神様にとってはもう完了している働きであるのかもしれません。神様は時間と場所を超越した方です。今日の光の祭儀でも、キリストは、始めであり終わり、アルファでありオメガである、と学びます。しかし人間は時間と空間の中に存在しています。

実は、神の創造の働きとは、ただ、無から世界を造るということではなく、悪を滅ぼし、神の支配を行き渡らせる、ということだと思います。

洗礼を受ける皆さんは、「罪の業を退けます」「罪に支配されることのないように、悪を退けます」「神に反するすべてのことを退けます」と約束します。この約束を実行するということが、神の創造の働きに協力するということを意味します。

神は混沌とした暗闇の世界に向かって言われました。「光あれ」。こうして神は光を創造され、この世が神の定めに従うようにされました。また救い主イエス・キリストの復活を通して神の愛、光、いのちがすべての人に及ぶようにとお望みになりました。今日行なわれる典礼全体がこの神様の救いの計画をよく表わしています。

今日は洗礼の秘跡に続き、堅信の秘跡も授けられます。堅信の秘跡は信者が神の創造の働きに参加してキリストの復活を力強く表わし伝えることができるようにと聖霊の賜物を受ける秘跡です。

心を込めて祈りましょう。わたしたち一人ひとり、復活の光を受け、復活の光でこの世界を照らし、神の愛のしるしとなることが出来ますように!