教区の歴史

教区の歴史

2010年東京教区修道女連盟研修会ミサ説教

2010年01月04日

2010年1月4日(公現後の月曜日)聖心女子大学聖堂にて

 

第1朗読  使徒ヨハネの手紙一3・22-4・6

福音朗読 マタイによる福音4・12-17,23-25

 

皆さん、明けましておめでとうございます。

2009年もまことに感慨深い年でありました。皆様よりお祈りいただき、また種々の形で助けていただきました。厚く御礼申し上げます。2010年を迎えるにあたり、神様に心から感謝いたします。

 

使徒ヨハネはヨハネの手紙中で悪魔について述べています。

「悪魔の働きを滅ぼすためにこそ神の子が現れたのです」(3・8)。

最近、とみに悪の存在ということを感じます。この世界にも、そしてわたしたちの心の中にも悪の力が働いていると感じます。司祭はいつもミサの聖体拝領前、主の祈りの後で次のように祈ります。

「いつくしみ深い父よ、すべての悪からわたしたちを救い、現代に平和をお与えください。あなたのあわれみに支えられ、罪から解放されて、すべての困難に打ち勝つことができますように。」

しみじみ本当にそうだと思いながらこの祈りを唱えております。

 

今日の福音で

「イエスはガリラヤ中を回って、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、また民衆のありとあらゆる病気や患いをいやされた」

とのべられています。イエスの使命は、御国の福音を宣べ伝え、いやしを行うということでありました。

わたしたち東京教区の使命は何でありましょうか。

新しい年2010年を迎えたわたしたち東京教区では課題が山積しております。わたくしは、課題へ取り組みながら、日々、東京教区の召命は何か、使命は何であるのか、いつも考え祈って歩んでまいりました。

この年を期して新しい風が吹いて教区を新しくしてくださり、教区の召命を力強く推進できまるようにしてくださることを、わたしは切に望み、祈っております。

おりしも2009年の6月19日(イエスのみ心の祭日)から今年の6月11日(イエスのみ心の祭日)までは司祭年であります。今司祭は多くの問題に直面し、心身の疲労を感じています。この年を司祭の「安息年」とし、司祭が心身の健康に恵まれますよう、司祭の休養と休暇、サバティカルについて再検討したいと考えております。また司祭の霊的生活の見直し、月例集会、年の黙想、日々のミサと祈りについての深い反省を行いたいと考えております。

東京教区は三つの優先課題を掲げています。その一つがすべての信者の生涯養成と霊的成長です。これは司教、司祭にも適用されなければなりません。

優先課題のもう一つが「心の問題」であります。多くの人が精神的な問題に悩み苦しんでいます。昨年の秋、三回にわたり、麹町教会において『こころのセミナー』を開催しましたところ、多くの方が参加され、大きな反響をいただきました。どんなにか現代の人が心の病や傷に悩まされているのか、痛切に感じています。今年もこの企画を継続して実行する予定です。

今日も悪の問題に触れましたが、今の日本の社会には、人を不幸にする巨大な悪が存在しているような気がします。11年間連続して3万人もの人が自死を遂げる社会は決して幸せは社会ではありません。その悪とは何であるのか、正体が分かりません。分かればもう悪ではなくなるのかもしれませんが・・・それは人の精神を支配する闇の力ではないか、と思います。新しい年を迎え、わたしたちに聖霊が豊かに注がれ、心の闇を打ち払ってくださいますよう、聖母の取次ぎにより、祈ります。

 

2009年12月30日、白柳枢機卿様が帰天されました。今日は通夜、明日は葬儀・告別式です。枢機卿様の生涯を振りかえりますと、枢機卿様はじつに43年間司教・枢機卿の職にありました。その間、一貫して平和のために働いてこらました。アジア・太平洋戦争の戦争責任を教会として正式に告白し謝罪したのは当時の司教協議会会長の白柳大司教でした。諸宗教間の対話と平和のために尽くされたことも顕著な事実であります。

今なお、平和は脅かされています。

国家と国家、民族と民族、宗教と宗教の間に対話と尊敬、そして平和が打ち立てられなければなりません。

そしてまた、平和は人類と自然との関係においても樹立されなければなりません。今年の教皇の「世界平和の日」メッセージ『平和を築くことを望むなら、被造物を守りなさい』で述べられているように、いま、人類と自然との関係も危機に瀕しています。人間は神からの賜物であるすべての被造物を、尊敬を込めて管理し、人類との相応しい関係を造り保つように務めなければならないのです。自然の恩恵への感謝を忘れてはならないと思います。

東京教区の優先課題のもう一つは多国籍教会としての成長であります。外国人の司牧といっていましたが、むしる。多国籍・多民族から構成される教会としての成熟と成長を目指す、というべきでしょう。

今日はこの点についての示唆、励まし、勧めとなる話を安藤勇神父様から伺えると期待しております。

最後になりましたが、どうか皆さん、白柳枢機卿様の永遠の安息のためにお祈りください。