教区の歴史

教区の歴史

聖香油のミサ説教

2007年04月05日

2007年4月5日 10:30~ 東京カテドラル聖マリア大聖堂にて

 

 

皆さん、今年は大改修工事を行っているカテドラルで聖香油のミサをささげることになりました。多くの方の祈りと献金をいただいております。あらためて心から感謝いたします。 

言うまでもありませんが聖香油のミサは各教区において(通常はカテドラルで聖木曜日に)教区司教と司祭団によってささげられます。このミサにおいて教区司教と司祭団の一致が示され、またミサの中で、聖香油、洗礼志願者の油、病者のための油の祝別が行われます。また本日は司祭職制定の記念日であり、司祭は叙階を受けたときの約束の更新をする日でもあります。司祭叙階式のときに司教は次のように祈ります。「あなたがたのうちによい業を始めてくださった神ご自身が、それを完成してくださいますように。」

この祈りを心から今日皆さんとご一緒にささげたいと思います。 

昨年2006年は日本に初めて福音を伝えた聖フラシスコ・ザビエルの生誕500年という年でした。ザビエルの来日は1549年ですから宣教開始以来458年目を迎えたことになります。この間実に300年にも及ぶ禁教と弾圧の期間がありました。宣教を再開してからは130年余りです。今年わたしたちはペトロ岐部と187殉教者の列福を期待しています。この機会に日本における福音宣教(福音化)についてあらためて思いを深め、よく祈らなければならないと思います。(おりしも2007年は第1回福音宣教推進全国会議開催20周年にあたります)。わたしたちは今日まで日本を福音化する努力をしてまいりましたが、日本の社会・文化のなかに福音という価値観を浸透させるには至っておりません。それはなぜでしょうか?今、ここに人々の生活と日本の社会の現実があります。この人々に対して、わたしたちは福音をとおして人生の意味と希望をどのように伝え表すことができるでしょうか? 

昨年10月の司祭研修会はこの問いへの回答を求めて行われたものであり、講師の溝部脩司教様、岩島忠彦神父様より、貴重な示唆をいただくことができました。わたしたちは福音宣教者という召命を受けましたが、実はわたしたちをとおして宣教されるのは神ご自身であり、人々を信仰へ導かれるのは聖霊ご自身です。主イエスはイザヤ書を引用して言われました。「主の靈はわたしの上におられる。・・・」この同じ神の霊がわたしたちの上にも注がれています。聖霊への信仰と希望を深めて祈りましょう。問題はいかに深く強くわたしたち自身が福音を信じ、神のゆるしと慈しみ、そして神の恵み、力を信じているかということではないでしょうか。わたしたちの務めは自分の信じたことをのべ伝え、宣言し、実行するということです。まず自分自身の深い信仰がなければなりません。心から祈りたいと思います。 

「主なる神よ、わたしたちになお聖霊を豊かに注いでください。聖霊の働きにより、わたしたち自身日々新たに生まれ変わることができますように、また聖霊の働きによってわたしたちが日本の社会・文化を、福音の精神により適った社会・文化に変容できますように。そしてこの国を、神の国の到来のしるしとすることができますように」