教区の歴史

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新パイプオルガン計画 ~新オルガンの特徴~

2007年05月10日

MASCIONI ORGANS

 

 

2004年春に設置が予定されている東京カテドラルの新しいメカニカルオルガンの建造計画を紹介します。新オルガンは正面入り口に現在建っている電気式(ニューマチック)オルガンの代わりに設置されます。

ミサ典礼、結婚式など諸儀式の伴奏、会衆の歌と聖歌隊の歌の一体感を一番の目的とするオルガンの建造にあたり、良く鳴り響き、難しい残響をクリアーにする音量と音質の検討が、大聖堂の大きさの考慮とともに要求されます。又、聖具一式のひとつとしてみなされる事にも重点が置かれております。同時に新オルガンには柔軟性と完全性が求められています。伝統的なイタリア・オルガン様式に則りつつ、すべての音楽様式に も対応できるように設計されています。

特にバッハの曲の演奏にも配慮した本オルガンは、教会に起源をもつ元来のオルガン・レパートリーを再現できる貴重な楽器のひとつになるでしょう。

東京カテドラルは現代的な建築物です。オルガンと建物が一体となるようなデザインの現代性も期待されています。

 

オルガンの概要

46ストップ 手鍵盤三段 58鍵 足鍵盤、30鍵  

メカニカルキーアクション エレクトリックストップアクション

コンビネーションメモリー          6×256

カプラー Ⅲ―Ⅱ Ⅰ―Ⅱ Ⅲ―P Ⅱ―P

パイプ本数 3130本

 

手鍵盤 3段 58鍵 C~a”’ (ド~ラ) 

第一鍵盤 ポジティーボ(リュック型)

第二鍵盤 グランドオルガノ

第三鍵盤 レチタテイーボ

 

足鍵盤  ペダーレ 30鍵 C~f’ (ド~ファ)

 

オルガン全体

本オルガンのケースは厳選された樅(もみ)の木を中心に製作されます。樅の木の利点を最大限に活かし、また美しく仕上げるために工程は全て手作業で進めらます。

このオルガンは大小二つのケースで構成されて、それぞれの鍵盤のためのパイプのセットが収められています。小さいケースにはポジティーボ が入っています。大きいケースにはグランドオルガン、レチタティーボ、ペダーレと演奏台が入っています。ポジティーボはリュック式で、演奏者の 背面にあって、2階から突き出しています。

この構成が最も合理的と考えられています。演奏のしやすさ、楽器の響き、音の会衆への届きやすさ、これらの要求を最も満たす位置にオルガンは設置されます。又、この配置はオルガンの後ろのガラスからの光を妨げる事にもなりません。メカニックの動きに余裕を与え、メンテナンスを容易にするために、オルガン内を最大限に広くする設計がなされます。

 

演奏台(手鍵盤と足鍵盤)

 

演奏台はグランドオルガンにつきます。オルガニストにとって演奏が一番聴きやすい位置です。足鍵盤は手鍵盤の下に位置します。演奏台の材料は全てムクの樫の木か、胡桃の木を100%使用し、合板は一切用いません。製作は手作りで仕上げます。手鍵盤についても歴史的なスタイルで 製作し、全ての鍵盤を一本ずつ手作りで製作します。足鍵盤は平行型で樫の木を使用、やはり手作りで製作します。

 

ストップノブ゙の材料

丸いつまみの引き出し式で、各つまみ(52個)の文字は手書きです。それぞれのつまみは手鍵盤の両側に配置されます。

 

伝達方式 (鍵盤からパイプまでの間のメカニズム)

鍵盤は全てメカニカル(機械式)、コンビネーションは電気でコントロールします。手鍵盤はタッチが軽く、反応が速い(鍵盤の動作が速い)吊り鍵盤です。足鍵盤はタッチが軽く、雑音がしないように作られています。

カプラ-はメカニカル(機械式)です。メモリー、コンビネーションを含め最新のシステムを使用します。

 

風箱

風箱(各パイプのある所まで風を送るために風を貯めておく箱)は伝統的な構造と作り方で製作しております。使用される木材は樫の木、胡桃、樅の木です。蛇腹 の箱は樅の木で作り、低音部は鳴りが良く、弾きやすいように(風が足りなくならないように)補助的に電気的な方法で強い風を送る構造になっております。中音、高音部は機械式の構造になっております。蛇腹には羊の皮を使用します。

 

ふいご (送風装置、モーターにより送風)

信玄袋タイプです(手動でも使用可)。使用する木材は樅の木のムク材です。送風装置は木製の箱(樫の木製)の中に収まっており、外部に音が漏れにくい作りになっております。送風装置を置く位置はオルガン 本体のうしろの部分になります。手鍵盤、足鍵盤によって風圧 を変えます。

 

第Ⅲ鍵盤レチタティーボのケース

扉の開閉によって音の強弱を調整する装置(よろい戸のように木の板が開閉します)に使用する木材は樅の木で、厚さ45mmのムク板です。開閉装置は正面に位置しメカニカル(機械式)です。

 

パイプ

大きなカテドラルの空間に充分に響き、建物に適合したパイプを製作します。金属パイプの材料は鉛と錫の合金で、錫の割合は30~87%(パイプの種類により異なります)。フルーパイプとリ-ドパイプは、マショーニ社の伝統の手作りで製作します( 台の上に布を敷いて金属を溶かして合金板を伸ばす)。木のパイプは樅の木と樫の木で製作し、湿気を防ぐために赤土色に(イタリア・オルガンの伝統的の色彩)塗り、接着はにかわを使用します。

 

調律・整音

調律・整音は、最初にマショーニ社の工房で行います(プレ整音)が、日本で組立てた時に建物の響きに合わせながらさらに調律・整音をします。

 

外装のデザイン

オルガン製作技術の手法に従って、伝統的なスタイルを基に、最新の技術を生かし、楽器としての完全な機能の確保のために細部にわたり入念に仕上げられます。各部分に使用される部材はマショーニ社の工房において管理された、全て天然乾燥による最上質の木材を使います。

 


 

ストップ(音栓)の構成 (ギエルミ先生の提案)

  

Ⅰ Tastiera – Organo Positivo (Tergale)

第一鍵盤 ポジティーボ(リュック型)

(6-11はイタリア独特の音栓)  

1. Bordone 8’

2. Principale 4’

3. Sesquialtera Ⅱ 2.2/3’

4. Ripieno Ⅲ 2’

5. Dulzian 8’

6. Principale italiano 8’

7. Ottava 4’

8. Decimaquinta 2’

9. Decimanona 1.1/3’

10. Flauto in ottava 4’

11. Voce Umana (DO25~)  8′

Tremolo

 

Ⅱ Tastiera – Grand Organo

第二鍵盤 グランドオルガノ 

12. Principale 16’

13. Principale 8’

14. Ottava 4’

15. Quinta 2.2/3’

16. Ottava 2’

17. Mistura Ⅴ 2’

18. Cimbalo Ⅲ 2/3’

19. Flauto a camino 8’

20. Flauto a cuspide 4’

21. Nazardo 2.2/3’

22. Terza 1.3/5’

23. Tromba 8’

 

Ⅲ Tastiera – Recitativo (Espressivo)

第三鍵盤 レチタテイーボ 

24. Bordone 16’

25. Bordone 8’

26. Viola da Gamba 8’

27. Principale 4’

28. Flauto 4’

29. Flauto 2’

30. Cornetto Ⅲ/Ⅴ   8’

31. Ripieno Ⅳ 2’

32. Dulziana 16’

33. Tromba 8’

34. Oboe 8’

35. Clarone 4’

Tremolo

 

 

Pedale

足鍵盤  30鍵 C~f(ド~ファ) 

36. Subbasso     32’

37. Contrabasso   16’

38. Violone 16’

39. Subbasso 16’

40. Basso 8’

41. Bordone 8’

42. Principale 4’

43. Mistura Ⅳ 2.2/3’

44. Tromboni 16’

45. Tromba 8’

46. Tromba 4’

カプラー 

47. Ⅲ―Ⅱ

48. Ⅰ―Ⅱ

49. Ⅲ―P   

50. Ⅱ―P