麹町教会堅信式説教

2017年6月25日、年間第12主日

[聖書朗読箇所]

今日は、160名以上のかたが、堅信の秘跡をお受けになります。

堅信の秘跡は、洗礼を受けて、キリストの弟子となった人々に、聖霊の力が注がれて、信仰を証しし、イエス・キリストを宣べ伝えることができるようにする秘跡です。
すべての信者は、イエス・キリストを宣べ伝え、証しするという尊い使命を授かっております。
もちろん、司祭、奉献生活者は、特別な養成を受け、特にイエス・キリストを証しするという務めを受けておりますが、すべての信者、すべての信徒は、福音宣教者になるという使命を受けています。
イエス・キリストを信じる者は、自分の言葉で、自分の信仰を人々に表し、伝えなければなりません。難しい、特別な言葉でなくとも、自分がイエス・キリストを信じている、その信仰を、自分の言葉で、自分の置かれている場所で、宣言するようにいたしましょう。
それには、勇気がいります。

今日のイエス様のお言葉は、何度も繰り返し、「恐れてはならない」と言っております。有名な預言者エレミヤも、神様から授かった使命の遂行には、大変苦しみを受けましたが、神はエレミヤを、いつも励ましました。

いま、日本の社会で、イエス・キリストを宣べ伝え、証しするということは、どのようにすることでしょうか。不安、恐れがないとは言えないと思います。
しかし、主イエスは言われました。「聖霊を送ります。聖霊の力によって、あなたがたはわたしを宣べ伝え、証しすることができるようになります」。

さて、いまの日本の社会で、どのようなことが大きな問題となっているでしょうか。
いろいろなことがあると思いますが、わたくしが1つ、特に心を痛めていることをお伝えしたいと思います。
それは、日本において、青少年のみなさん、15歳くらいから34歳くらいという数字が出ていますが、このかたがたの自殺が非常に多い。かつて、1998年からでしょうか、14年間に渡って、日本では自殺者、わたしたちは自死者と呼びたいのですが、3万人という数字を伝えていました。

わたくしが、ケルン教区にまいりましたときに、日本の社会のことをお話しなければならなくて、日本は、いま、毎年3万人の人が自殺しているということを言いましたら、数字が1桁違うのではないかという質問がありました。
確認された数が3万人ですから、はっきり分からない人や、未遂者を入れれば、大変な数になります。

政府を初めとする多くの方の努力で、自殺者は減少しました。しかし、若い人の自殺は、それほど減っていない。そして、7ヶ国でしたでしょうか、先進諸国の中で、日本が一番若い人の自殺率が多いです。それには、いろいろな原因、理由がありましょう。病気ということもあるかもしれません。
その中で、1つ、わたくしが大変気にしますことは、自己評価、あるいは、自己肯定感が非常に低い。自分が存在していることの意味が、よく分からない。自分がここにいることに、どのような意味があるのだろうか、明日何か良いことがあるのだろうか、何のために生きなければならないのかが、分からない。他の人とのつながりも、よく見えない。
孤独、自己存在肯定感の欠如、弱さ、そのようなことが、日本の青少年を襲っているという報告がございます。

「あなたがそこにいることは素晴らしいことなのだ、神様は、あなたのことをよく知っていますよ。あなたはすずめなどよりも、余程価値がある存在ですよ。髪の毛1本1本、みな神様ご存知ですよ。あなたのことを神様は毎日見守り、励ましているのですよ。」
そのような信仰を、わたしたちは是非、人々に伝えたい。

堅信を受けられるみなさん、恐らく皆さんの周りには、自分の存在を喜べない、そのようなかたがおられるのではないでしょうか。
そのようなかたがたに寄り添い、そのようなかたがたの心の声に耳を傾け、そして、慰めと励ましを伝え、与えることができますように、聖霊の導きを願いましょう。

わたしたちは、自分の存在が大切であるということは、両親をはじめ、家族から受け継ぎますが、それだけでは足りないように思います。

人間を超えた、偉大な存在、素晴らしい存在、自分がどのようになっても、あなたは大切だと言ってくれる存在、どのような欠点があっても、どんなに失敗しても、あなたがそこにいることは素晴らしいことだ、あなたの生涯には意味があるのだということを言ってくれる存在も必要なのです。
それは、わたしたちが信じる神様であり、その神様をわたしたちに示してくださったかた、それは、主イエス・キリストです。

神は、わたしたちの罪や欠点を、すべて承知の上で、わたしたちを愛し、そして、わたしたちのために、イエス・キリストを遣わしてくださったのです。

今日、その信仰を改めて強くしていただき、そして、みなさんも、ひとりひとり、福音宣教する者となり、そして、この日本の社会で、力強く、イエス・キリストを表し、証しするようにいたしましょう。

そのための聖霊の力を信じ、そして、ご一緒に祈り求めるようにいたしましょう。

聖書朗読箇所

第一朗読 エレミヤの預言 (エレミヤ20・10-13)
第二朗読 使徒パウロのローマの教会への手紙(5・12-15)
福音朗読 マタイによる福音(マタイ10・26-33)

(福音本文)
〔そのとき、イエスは使徒たちに言われた。〕「人々を恐れてはならない。覆われているもので現されないものはなく、隠されているもので知られずに済むものはないからである。
わたしが暗闇であなたがたに言うことを、明るみで言いなさい。耳打ちされたことを、屋根の上で言い広めなさい。体は殺しても、魂を殺すことのできない者どもを恐れるな。
むしろ、魂も体も地獄で滅ぼすことのできる方を恐れなさい。二羽の雀が一アサリオンで売られているではないか。だが、その一羽さえ、あなたがたの父のお許しがなければ、地に落ちることはない。あなたがたの髪の毛までも一本残らず数えられている。だから、恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている。
だから、だれでも人々の前で自分をわたしの仲間であると言い表す者は、わたしも天の父の前で、その人をわたしの仲間であると言い表す。しかし、人々の前でわたしを知らないと言う者は、わたしも天の父の前で、その人を知らないと言う。」

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