聖香油のミサ説教


2017年4月13日、東京カテドラル

[聖書朗読箇所]

本日、聖香油のミサの日を迎えました。
聖香油のミサの中で、3種類の油の祝福と聖別が行われます。『病者の油』と『洗礼志願者の油』は祝福され、『聖香油の油』は聖別されるとされております。
『塗油』を意味するギリシャ語は、『クリスマ』という言葉であり、そちらから、『キリスト者』、『キリスト教徒』という言葉が出てきていると言われております。

わたしたちは、キリスト者、キリスト教徒、クリスチャンと呼ばれております。キリストは、旧約聖書の言葉であるヘブライ語で「救い主」を意味する「メシア」のギリシャ語訳で、『油注がれた者』という意味であることを、わたしたちは学びました。
そのキリストの使命に与る者、キリストに従って、それぞれの任務を遂行する者として、わたしたちは洗礼、更に、堅信の秘跡を受けているのですし、わたしたち司祭は、叙階の秘跡を受けているのです。

洗礼、堅信、叙階の秘跡のときに欠かせないものが、何であるかというと、もちろん、お祈りの言葉ですが、それとともに、聖香油がなければなりません。1年に1度だけ、司教は、司祭団と一緒に香油を聖別する、聖香油のミサを献げます。

みなさんのお手元にある、聖香油のミサの式次第は、今年のために改訂されたものです。油の祝福と聖別は、ミサの終わりの方で行うことが、わたしたちの教会の伝統ですが、司牧的な理由があれば、説教の後、正確に言いますと、司祭の約束の更新の後、行うことができるとされておりますので、本日は、そのようにいたします。

聖香油のミサのときに読まれる福音は、毎年同じ個所、ルカの4章16節より21節です。
「主の霊がわたしの上におられる。貧しい人に福音を告げ知らせるために、
主がわたしに油を注がれたからである。」

主イエスが、ご自分のお育ちになったナザレの会堂で、ご自分の使命の開始、公生活の開始にあたって読まれた、イザヤの預言にある箇所、イザヤ61章の言葉をもって、「この言葉は、いまここで成就した」と宣言され、自分は主から油を注がれた者、主の霊を受けた者であると宣言しました。

わたしたちは、主イエス・キリストを信じると宣言し、そして、主イエス・キリストの使命に与る者であると自覚しております。そして、その使命を実行できるようにと、主なる神は、わたしたちに聖霊の力を注いでくださいましたし、今も注いでくださっています。
わたしたちは、洗礼、堅信、そして、司祭は叙階の秘跡のときに、聖香油を塗っていただき、『塗油された者』、すなわち、『キリスト者』となりました。わたしたちは、キリスト者、主の霊を受けた者ですから、霊の導き、霊の働き、霊の助けがあると信じています。

この困難な時代、それぞれの場所で、キリスト者としての使命を実行することは難しいと感じますが、しかし、「それをあなたはすることができる」と、聖霊がわたしたちに教えてくれていると思います。

今日、聖香油のミサを献げるにあたり、わたくしは聖香油というのは何であるかということを、今日ご一緒に分かち合いたいと考えました。
旧約の指導者たちは、祭司、王、預言者は、油を注がれてその務めに就任した。サウル、ダビデ、ソロモンなどの王たちは民の同意のもと、油を注がれて王となったのでした。「油注がれた者」は、ヘブライ語でメシアと呼ばれ、ギリシャ語で『キリスト』となりました。

さて、ここにいるわたしたちは全員がキリスト者となっています。
全員がキリストの使命を受けた者です。そのようなわけで、わたしたちは自分の使命を果たすことができるよう、お互いに、励まし合い、助け合い、祈り合いましょう。
わたしたち司祭は、信徒のみなさんが、それぞれの立場で、それぞれの場所で、キリスト者として生きられるよう、支え、助け、導き、そのために、毎日お祈りをしております。

どうぞ、宜しくお願いいたします。

聖書朗読箇所

第一朗読 イザヤ61・1-3a、6a,b8-9
第二朗読 黙示録1・5-8
福音朗読 ルカ4・16-21
(本文)
イエスはお育ちになったナザレに来て、いつものとおり安息日に会堂に入り、聖書を朗読しようとしてお立ちになった。預言者イザヤの巻物が渡され、お開きになると、次のように書いてある個所が目に留まった。
「主の霊がわたしの上におられる。
貧しい人に福音を告げ知らせるために、
主がわたしに油を注がれたからである。
主がわたしを遣わされたのは、
捕らわれている人に解放を、
目の見えない人に視力の回復を告げ、
圧迫されている人を自由にし、
主の恵みの年を告げるためである。」
イエスは巻物を巻き、係の者に返して席に座られた。会堂にいるすべての人の目がイエスに注がれていた。そこでイエスは、「この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現した」と話し始められた。

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