教区の歴史

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東日本大震災追悼復興祈念ミサ説教

2015年03月11日

2015年3月11日 東京カテドラルにて

[聖書朗読箇所]

説教

本日、東日本大震災4周年を迎えるに際し、次の使徒パウロの言葉が強く心に響きます。

「あなたがたはキリストの体です。一人ひとりはその部分です。一つに部分が苦しめば残りの部分のともに苦しみます。」今日の第一朗読のパウロの言葉です。

世界中の人々が被災者の苦しみをともにしてくださいました。

東日本大震災は多くの人の生命を奪い、また津波によって多くの人が行方不明となり、また同時に発生した福島原子力発電所の事故のために多くの人々が故郷を離れて避難を余儀なくされました。多くの人の苦しみ、悲しむ、不安は世界中の人に伝えられました。

教皇ベネディクト十六世は特使、ロベール・サラー枢機卿を派遣してくださり、枢機卿は被災地に赴き、被災者へ慰めと励ましの言葉をかけてくださいました。

世界中の人々からの支援、励まし、お祈り、慰めの数々に対して、わたしはあらためて深甚なる感謝の意を表します。

わたしはエレナさんという、日本に住む7歳の少女のことが忘れられません。なんと、エレナさんが教皇ベネディクト十六世に質問を送ったところ、教皇はエレナさんに答えてくださったのです。質問は次のようなものでした。 「どうして、わたしはこんなに怖い思いをしなければならないのでしょうか。なぜ子どもたちが深く悲しまなければならないのでしょうか。」
教皇の答えは次のような内容でした。

「わたしにも答えることができません。けれども、わたしは知っています。神は皆さんのそばにいてくださいます。いつの日か、どうして、このようなことが起きたのか分かるようになるかもしれません。
今は、皆さんが次のことを知るのが大切だと思います。『神はわたしを愛しておられます。』 神はわたしのそばにいてくださいます。
次のことも信じなければなりません。世界中の、全世界の多くの人が皆さんとともにいてくれます。皆さんのことを思い、皆さんのため、皆さんを助けるためにできることをしてくれています。
この苦しみの向こうには、いつくしみの計画が、愛の計画があることを知ってください。わたしは苦しむ日本の子どもたちとともにいます。わたしは祈りと行いによって皆さんを助けたいと思います。
どうか信じてください。神が皆さんを助けてくださいます。ですから、ともに祈りたいと思います。皆さんが一日も早く光を見いだすことができますように。」

わたしは地震ということからパウロの次の言葉を思い出します。

「つまり、被造物も、いつか滅びへの隷属から解放されて、神の子供たちの栄光に輝く自由にあずかれるからです。被造物がすべて今日まで、共にうめき、共に産みの苦しみを味わっていることを、わたしたちは知っています。」(ローマ8・21-22)

被造物も解放の時を待っています。被造物も神の栄光に与る日が来るのを待っています。人間だけでなく人間以外の被造物も救いの時を待っている、とパウロは言うのです。

わたしたちは、いつか宇宙万物は「新しい天と新しい地」として完成する、ということです。そのときをわたしたちは待ち望んでいる、ということです。

今日の福音はイエスが愛するラザロをよみがえらせる場面の直前の箇所です。イエスは一人の人間として、ベタニアに住むマリア、マルタ、ラザロの三人の兄弟姉妹を愛していました。しばしば彼らの家を訪問しそこに泊まられたようです。ラザロの死に接し、涙を流して悲しみをました。

しかし、イエスは天の父に祈ってラザロをよみがえらせたのです。それはラザロを愛していたからだけではなく、「あなたがわたしをお遣わしになったことを彼らが信じるため」(ヨハネ11・42)でした。

イエスは言われた。「わたしは復活であり、命である。わたしを信じる者は、死んでも生きる。生きていてわたしを信じる者はだれも、決して死ぬことはない。このことを信じるか。」(ヨハネ11・25-26)

イエスは道、真理、命です。神はすべての人に、イエスの復活の神秘に与る機会を与えてくださると、わたしたちは信じ希望します。すべての人の救いを望まれる神は、東日本大震災により命を落とされたすべての人を永遠の命へと招いてくださると思います。

犠牲者がキリストの復活の光を受け、永久(とわ)の安息に入ることができますように。アーメン。