教区の歴史

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東京カテドラル聖マリア大聖堂献堂50周年記念ミサ説教

2014年12月07日

東京カテドラル聖マリア大聖堂献堂50周年記念ミサ説教
―ケルン教区代表団を迎え、感謝のうちに、白柳枢機卿を追悼する―

 東京カテドラルにて

[聖書朗読箇所]

説教

「主を喜び祝うことこそ、あなたたちの力の源である。」

今日の第一朗読、ネヘミヤ記で、祭司エズラたちは民に向かってこう言いました。

この言葉は現代のキリスト教徒に礼拝にそのまま当てはまるはずです。きょうわたしたちは待降節第二主日を迎え、東京カテドラル聖マリア大聖堂の献堂50周年を祝っています。この祝いの喜びから力を頂き、神の民の使命を果たして生きたいと思います。

イエスはサマリアの女に教えて言われました。

「神は霊である。だから、神を礼拝する者は、霊と真理をもって礼拝しなければならない。」(ヨハネ4・24)  主なる父である神様、本日わたしたちは献堂50周年を記念して東京カテドラルに集まってあなたを礼拝します。どうかわたしたちがこのカテドラルを真の「祈りの家」としてあなたにささげることが出来ますよう、わたしたちのこころに聖霊を注いでください。

いつもわたしたちがあなたに向かって心を開くことができますように、わたしたちがあらゆるとらわれから解放され、絶えず「主における聖なる神殿」(エフェソ2・21)として歩むことが出来ますよう、わたしたちの心に聖霊を注いでください。

忙しさと騒がしさ、多忙と喧騒の中でわたしたちは暮らしており、絶えず過剰な情報にさらされ、わたしたちの欲望はいつも誘惑を受けています。生身の人間であるわたしたちが、人間の弱さを越えて祈るためには、特定の時間、特定の場所に集まり、心を合わせて祈りをささげる必要があります。そのために聖堂があります。聖堂は祈りのための家です。

主よ、どうか東京教区のすべての聖堂で霊と真理に基づいた祈りがささげられ、真の礼拝がおこなわれますように。そして、聖堂での祈りに支えられて、いつでもどこでも心の中に神様への場所を用意することができますように。

このような祈りのうちに、献堂50周年に際しこれからの東京教区の課題について今思うことを申し上げます。

1. 献堂50周年を期して大聖堂での「教会の祈り」の「晩の祈り」(晩課)をはじめます。とりあえず主日、祭日の午後5時より、です。皆さんの参加をお願いします。

2. 大聖堂の維持管理のためには関係者の相互理解・協力が大切です。そのためにカテドラル運営委員会があります。数年前(2007年)にはカテドラル外装の改修工事を致しました。
 カテドラルは絶えず修繕し補修する必要があり、よりよい運営のためには関係者の間でのよりよいコミュニケーションが必要です。皆さんのご理解ご協力をお願いします。

3. 聖マリア大聖堂をカテドラルとする東京教区全体が現代の荒れ野におけるオアシス・泉でありたいと願っています。そのために、東京教区の三つの優先課題の見直しを行い、継続し、さらに発展させたいと考えています。

4. 最近「ホスピス(hospice)」という言葉を耳にします。これはラテン語の「ホスピチウム(hospitium)という言葉に由来し、教会の隣人愛の実行に由来しています。
 元来、病者、貧者、孤児、老人、旅人らの避難所、救護所の施設を意味していました。今日の「病院(hospital)」という言葉や「ホテル(hotel)」という言葉もこの「ホスピチウム(hospitium)」に由来すると考えられます。

わたくしは、現代における教会の召命は、現在の救護所「ホスピチウム(hospitium)」であることだ、と思います。

多くの人が病み悩み苦しみ迷い、闇の中に置かれています。多くの人が自死に追い込まれています。心に傷を持つ人々、心の問題を抱える人々のために教会が現代の救護所「ホスピチウム(hospitium)」の働きを担いたいと念願しています。

また、移住者、高齢者、精神障害者の為にも、教会がよりよい救護所「ホスピチウム(hospitium)」となるよう、皆さんのご理解とご協力に期待したいと思います。

聖霊よ、わたしたちを照らし、導き、励ましてください。アーメン。