2014年着座記念ミサ後講話のためのメモ

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    2014年9月7日 関口教会にて

     

     

    1.着座式説教での決意表明

    「わたしたちの教会がすべての人に開かれた共同体、とくに弱い立場におかれている人々、圧迫されている貧しい人々にとって、やすらぎ、なぐさめ、はげまし、力、希望、救いとなる共同体として成長するよう、力を尽くします。

    どうか皆様、この決心を実行できますよう、わたくしを助けてください。

    どうか神よ、この決心を祝福してください。たえずわたしたちを教え導き支えはげましてください。そしてとくにお願いします。わたしたちひとり一人にこの決心を実行するための勇気をお与えください、主・キリストによって、アーメン。」

    この決意を実行できるよう、お祈りと支援をお願いしたい。

     

    2.カテドラル献堂50周年行事について

    1)12月7日(待降節第二主日の午後献堂記念ミサをささげる。このミサにはケルン教区の代表団が参加する。

     

    2)12月8日(月、無原罪の聖母の祭日)、ミサの前に、幸田司教に講話が行われる。主題は教皇フランシスコの「福音の喜び」についてである。

     

    3)12月14日(待降節第三主日)夕方、浜矩子氏の講演がある。主題は「教皇フランシスコの『福音の喜び』を読んで」である。

     

    4)献堂50周年を期してカテドラルで、主日・祭日の午後5時より教会の祈りの晩を開始する。担当は教区典礼行事担当の司祭チームにお願いする。

     

    3.信徒発見150周年について

    2015年3月17日は日本のカトリック教会にとって特別に記念すべき日であり、この日は、信徒発見よりちょうど150年目に当たる。

    厳しいキリシタン禁制と迫害の中で7代にわたってひそかに信仰を守り伝えたキリシタン(キリスト信者)が1865年3月17日、長崎の大浦天主堂でパリ外国宣教会の司祭に自分たちはキリシタンである、と名乗り出た。

    1549年、聖フランシスコ・ザビエルによってもたらされたキリスト教はまたたく間に多くの日本人に受け入れられ、禁教令が発布された1614年には信者数が50万に達していたと報告されている。

    しかしキリスト教の著しい発展とその背後にいる外国を警戒した当時の最高権力者たちによりキリシタン禁令が布かれると、史料でわかるだけでも5,000人にのぼる殉教者が生まれた。

    彼ら潜伏キリシタンは司祭の指導のない状態で、実に220年以上、自分たちで信仰を守り通した。これは教会史上稀な出来事であり、奇跡的な事実である。

    この「奇跡」が可能となったのは、なにより当時は同じ信仰を共有する家族の絆が堅かったこと、また指導者(教えや典礼暦に通じた信徒)、授洗者、そして指導者の教示を各家庭に伝達する者から成る組織が確立していたからであると考えられる。

     

    4.現代の日本の教会の信仰の継承

    現代の社会の状況は潜伏キリシタンの時代とすっかり様変わりしている。信仰の自由と宗教活動の自由は憲法において保障されているが、多くのカトリック信者は、自分の子どもに信仰を伝えるとことに大きな困難を感じている。

    その背景には、信者であっても信者でなくとも、一般的に現代の家庭が大きな危機に面している、という事情が存在している。

    現代日本の家庭の問題点以下の三点にまとめられる。

     (1)家族の絆の弱体化

     (2)少子高齢化

     (3)結婚の減少と離婚の増加

    以上の傾向はカトリック信者にもかなりな程度で当てはまると思われる。

     

    5.現代日本教会の試みとシノドスへ

    日本カトリック司教協議会1993年に「家庭の現実から福音宣教のあり方を探る―神のみ旨に基づく家庭を育てるためにー」を主題とする第二回福音宣教推進全国会議を開催した。

    第三回臨時シノドスのテーマがThe Pastoral Challenges of the family in the Context of Evangelizationであるが、これは日本の司教協議会が行ったこの第二回福音宣教推進全国会議の開催の趣旨に共通する部分が多いと思われる。

     

    【対策と提案】

    (1)教会共同体の責任

    日本でカトリック信者は極めて少数であるばかりか、圧倒的に世俗化が進み、経済成長した社会の中で、圧倒的多数の他宗教の人々、あるいは宗教を信じない人々のなかで生活している。まさに「離散の教会」の状態、自分の家庭においても自分だけが信者である場合が少なくはない。

    このような場合、教会共同体が家庭における信者の信仰を支え守り育てる努力と工夫が必要である。

     

    (2)典礼の充実と聖書の分かち合い

    教会は社会で孤立している信者を祈りにおいて支え助ける。特にミサをはじめとする典礼が大切。厳しい現実を生きる信者の生きる支え、慰め、励ましとなる典礼(説教)が求められる。また、主日の福音と朗読箇所を事前に学び、あるいは分かち合う機会を設けることが極めて有益。主日の福音の分かち合い、ということが静かに浸透しつつあるのは喜ばしいこと。

     

    (3)分かち合い・共生の広がり

    第二回福音宣教推進全国会議は「分かち合い」を推奨。分かち合いは御言葉の分かち合いだけでなく、病気、障害、災害、差別、人権侵害などの深刻な問題で苦しむ人々との分かち合い、共感であり、また彼らに寄り添ってともに生きる「共生」ということでもある。

    東日本大震災は大変悲惨な出来事であったが、多くの人が救援活動に参加し、ボランティアのグループが多数誕生した。

     

    (4)結婚式とその準備の充実

    多くの日本人は教会の聖堂で結婚式を挙げることを希望している。日本の司教協議会は聖座から特別な許可を頂き、条件付で、非キリスト者同士が聖堂で結婚式を挙げることを認めている。

    しかしそのためには、カトリック教会の結婚についての基本的な教えに関する「結婚講座」を受講していただくことが条件になっている。

    信者の結婚の場合はもちろん、結婚前のカテケージスが非常に重要。結婚の前に、結婚の意味、いのちの尊さを十分に学んでいただくことが極めて重要である。

    結婚準備のカテケージスは家庭における福音宣教の、不可欠の重要な司牧の課題である。

     

    (5)冠婚葬祭と福音宣教

    日本で死者のための儀式は社会の儀礼として重んじられている。カトリック葬儀にも多くの非キリスト者が参加し、葬儀の典礼はよい評判を受けている。葬儀は「死」の意味を教会外の人に説く貴重な機会、そのための準備を大切にしたい。

     

    (6)婚姻手続きの簡素化を

    離婚者・再婚者のための司牧、そして法的な救済手続としての「無効宣言」などの手続が簡略化されることを日本の司教協議会として聖座にお願いする。

    また、「カトリック信者同士の結婚を前提とした手続」を、異宗障害の免除と同じように、必要な手続きからの免除を行う、という権限を司教協議会に与えて欲しいと願っている。

     

    (7)教会が砂漠のオアシスとなる

    日本のカトリック教会は悩み迷う人の話しに耳を傾ける用意のある人々の団体でありたいと願っている。

    「金がすべて」という価値観が支配的である日本の社会で、日本のカトリック教会は、主イエス・キリストの復活の光のしるしとなり、常に、地上を越えた永遠の世界を指し示す、人々のための癒し、慰め、励まし、希望として、歩みたいと願い、祈っている。

    「東京カリタスの家」としてもその活動がその目的に適った協力ができることを心から願っている。