ルカ 長尾 栄一さん通夜説教

    image_pdfimage_print

    2012年2月19日 東京カテドラル関口教会にて

     

    聖書朗読 二コリント5・1-6a

     

      皆さんご存知のように長尾栄一さんは日本で最初の全盲の医学博士です。筑波大学教授をお務めになり、退職の後は1995年に関口教会で洗礼を受けカトリック信者になられました。1996年からはご自宅に長尾鍼灸院を開業し、治療にあたっておられました。鍼灸院はカテドラルのお近くであり、多くの司祭、信者が先生にお世話になりました。わたくしも何回か先生に診ていただきました。

    また社会福祉法人ぶどうの木のロゴス点字図書館の理事をも務めていただきました。

    わたくしが理事長でありますし、治療を受けた者の一人でもありますので、ご依頼により、お通夜の司式を担当しております。

     

    ルカ長尾栄一さんの生涯を偲びながら、ただいま読まれた聖書の教えについて一言申し上げます。使徒パウロは言っています。

    「わたしたちの地上の住みかである幕屋が滅びても、神によって建物が備えられていることを、わたしたちは知っています。人の手で造られたものではない天にある永遠の住みかです。」(二コリント5・1)

    わたしたちは、それぞれ「天にある永遠の住処」が用意されていると信じます。地上の旅を終わったものは天の永遠の住処へ向かって帰ります。そのようなわけで、ご逝去・ご死去を「帰天」といいます。

    長尾さんも、労苦の多い地上の生涯を終えられて、天の父のもとへ旅立たれました。地上に残ったわたしたちは長尾さんが主なる神のもとで永久のやすらぎに入られるよう、お祈りすることができます。

    長尾さんは学者であり、医学史や盲人史に通じておられました。

    長尾さんは「私のロゴス点字図書館」という一文を残しておられます。この中で盲人のロレンゾという人を紹介しています。ロレンゾは、聖フランシスコ・ザビエルが山口で最初に洗礼を授けた人の一人で、盲目の琵琶法師でした。格調高い日本語を駆使して明快な説教を行い、キリシタン大名の高山右近の父をはじめ多くの人を信仰に導いた、ということを長尾さんは述べています。

    長尾さんもカトリック信者として、ご自分の持っている知識や技術を、人々を助け励ますために最大限に活かされたと思います。今謹んで長尾さんの霊前で御礼申し上げます。

    多少個人的な述懐になり恐縮ですが、わたくしは千葉県市原市鶴舞の出身です。我が家の隣が公民館になっております。そしてそこにひとつの胸像が立っています。日本点字の父と呼ばれる石川倉次の胸像です。石川倉次は浜松で生まれた人ですが、幼少時代に現在の市原市に移住してきました。市原市では郷土の産んだ偉人の一人となっております。

    大変申し訳ないことですが、点字図書館の理事長になってから、やっと石川倉次のことを知りました。

    長尾先生も視覚障害者の歴史に残る偉大な存在であると思います。

    謹んで永久の平安をお祈りいたしましょう。