教区の歴史

教区の歴史

年始の集いミサでの挨拶

2012年01月09日

2012年1月9日 東京カテドラル関口教会にて

みなさん、今日は東京教区の年始の集いにご参加くださりありがとうございました。

1)自分の信仰を深めよう(信仰の生涯養成・優先課題のひとつ)

2011年3月11日、わたしたちは大きな災害を経験しました。この災害はわたしたちに様々な課題を突きつけています。わたしたち神を信ずる者にとっても、なぜこのような災害が起こったのだろうという疑問を持つことを禁じえなかったことと思います。なぜこのような悪が存在するのか。起きた現実を直視しながら、改めてわたしたちの信仰が問われているとわたくしは思いました。

新しい年を迎え、この機会にわたしたちは、自分たちの信仰をもう一度確かめたいと思います。入信の時を思い起こし、自分の信仰をさらに深くするように努めたいと思います。何よりもわたしたちは主イエス・キリストをよく見て、よく聞くように努めなければなりません。

先日1月4日、東京教区の修道女の皆さんの研修会があり、わたくしも参加しました。その時にパウロ会の鈴木信一神父がお話になりましたが、ご存知のように4つの福音書があります。4人の福音史家がそれぞれ特色のあるイエスの生涯をわたしたちに示して下さっています。マタイの特色は何ですか?マルコはどのようにイエスを描いておりますか? この1年をかけて、福音書全体を深く味わうことが必要であり、有益ではないかと年頭に当たり、わたくしは改めて感じております。

また「パウロ年」ではパウロの教えを学びましたが、本年もさらにもっとパウロの教えを学びたいと思います。例えば、ローマの教会への手紙8章18節から25節。その中で21節をご覧下さい。

「(つまり、)被造物も、いつか滅びへの隷属から解放されて、神の子供たちの栄光に輝く自由にあずかれるからです。」

大自然は神の栄光を表す素晴らしい存在だと思います。しかし、この災害のように、時として自然の中に大きな不具合と申しましょうか、わたしたちの脅威のもとになる出来事も起こります。わたしたちは救いということを人間の救いを中心に考えてきましたが、救いというのは人間と他の被造物がつながっている上での救いであり、人類の救いだけでなく、被造物全体、宇宙全体の救いという使命にわたしたちは与かっているのではないかと、3月11日以来考えてまいりました。

ヨハネの黙示録21章には新しい天と新しい地という言葉が出てきます。神様の創造が完成されたときに現れてくるのが新しい天と新しい地と言われています。神様は必ずわたしたちとこの世界を救い、完成してくださる。そのような信仰と希望をもってこの年を神様にお捧げしましょう。

 

2)信仰年

2012年10月11日から「信仰の年」が始まります。第2バチカン公会議開催50年を記念して教皇様が定めました。この信仰の年に先ずなすべきこと、それは信仰を深めることです。現在は信仰が危機に瀕している時代だと教皇様は言っておられます。ベネディクト16世教皇は自ら精力的に任務を遂行され、日々信仰を説いておられます。わたしたちも教皇様の呼びかけに応え、個人としてだけではなく、教会として、東京教区として、わたしたちの信仰を深める努力、具体的な計画を立てたいと思います。

教皇様はさらに『カトリック教会のカテキズム』という要理の指導書を勉強するようにと言っておられます。

第二バチカン公会議が終わった後、特別なシノドス(司教の代表者の会議)が召集され、そこで出された結論の一つは、公会議の教えや歴代の教皇様の教えなどを取り入れた新しいまとまりのある要理の本が必要だということでした。時の教皇はヨハネ・パウロ2世であり、編纂委員会の委員長になったのがヨゼフ・ラッツィンガー枢機卿、つまり今の教皇様でした。

世界中の司教の意見を聞きながら出来上がったものは、大変厚く、詳しいもので、日本では翻訳にたいへん苦労をしました。この『カトリック教会のカテキズム』を勉強してほしいと思いますが、ひとりで勉強するのは易しくないと思いますので、勉強会などを開いていただけるとよいと思います。その要約(コンペンディウム)というのも後ほど発行されました。

もう一つ『カトリック教会のカテキズム』で勧められていることがありました。それは『カトリック教会のカテキズム』を基にしながら、それぞれの国で歴史・事情・文化に応じて、その地域でわかりやすい教えの本を新たに作るようにというものでした。日本の司教協議会ではその勧めを受けて、『カトリック教会の教え』という新たな本を作りました。数年前に発行されました。こちらを勉強していただけると嬉しいです。

 

2012年は日本で宣教が再開されてからちょうど150年です。そして日本26聖人が列聖されて150年になります。この機会に日本の教会の歴史を振り返りながら、殉教者の証しをもう一度学びながら、今の日本においてイエス・キリストの福音をどのような言葉や方法で伝え、証ししていったらいいかを共に学んでいきたいと思います。今年の秋、10月には「新しい福音宣教」を主題とした重要な会議(シノドス)があります。日本からは宮原司教様が出席なさります。新しい熱意、新しい方向、新しい表現で福音を伝えることが今日の教会の使命となっている、そのことについて話し合って下さいというのが教皇様の願いです。

 

3)絆の年

昨年は絆の年と言われました。わたしたちにとってはまず神様との絆、父と子と聖霊の三位の神様への信仰を深めること。そして同じ信仰を持つわたしたちが手をとりあって神の国が来ているという証しをすることが切に求められていると思います。

特にわたしたちは自分の隣人との関係をもう一度見直す時ではないでしょうか?司教・司祭自身はどうかといつも問われますが、自分に近い人は難しいですよね。難しくないですか?(笑) 知恵と勇気を出して、自分の家族・隣人のことをもう一度思い起こし、絆を確かめ、心を開くようにしたいと思います。そしてこの社会の中で、病気・障がい・孤独などで苦しんでいらっしゃる方とのつながりを作り、その方の居場所を作ってさしあげることが大切ではないでしょうか?

 

4)復活の灯火

わたくしが子どもの頃に言われていた言葉を思い出します。「心に太陽を持て」という言葉です。わたくしは大人になってから信者になりましたが、戦争が終わった直後の日本の田舎で、色々な方の色々な言葉を聞きました。「心に太陽を持て」は、確か山本有三という方が伝えた言葉です。わたしたちはイエス・キリストの復活の光を受け、復活の光をともし、日本の人々へ希望を伝えることができると思います。日本の社会にも暗闇があります。わたしたちは小さな小さな存在ですが、その暗闇の中に、一人一人が明かりをともし、人々に勇気と希望を与えることができますよう聖霊の導きを切にお願いいたしましょう。

 

皆さん今年も宜しくお願いいたします。