教区の歴史

教区の歴史

日本女子修道会総長管区長会総会開会ミサ説教

2011年05月27日

2011年5月27日(復活節第5金曜日) 都市センターホテルにて

 

第一朗読 使徒たちの宣教(使徒言行録15・22-31)

福音朗読 ヨハネによる福音(ヨハネ15・12-17)

 

「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい。これがわたしの掟である。」

すべての掟はこの掟に集約されます。

使徒言行録15章では、割礼論争が告げられています。「異邦人も割礼を受けなければ救われない」と主張する人たちがいて、激しい意見の対立と論争が生じました。使徒たちはエルサレムに集まり会議を開き、「異邦人からの改宗者が割礼を受ける必要はない」と満場一致で決定しました。その結論を今日の第一朗読が告げています。

「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい」 という、イエスの残された掟を実行するとは、具体的に何を意味するでしょうか?使徒たちの教会はまず割礼問題について討議し、聖霊の導きにしたがって、このように結論しました。

2011年3月11日、東日本大震災が起こりました。わたしたちは悲しみと不安のなかで大震災からの復興に取り組んでいます。今日5月27日、大震災勃発から2ヶ月半、日本女子修道会総長管区長会総会が開催されます。この状況で、このイエスの掟をどのように実行することができるでしょうか?この集まりのなかで皆さんは話し合い祈り求めること思います。わたしたちにとって、このイエスのご命令を如何に実行するのか、ということが最大の課題であります。

大震災に際して教皇様、教皇庁からいただいたお見舞いと励ましに心から感謝申し上げます。教皇ベネディクト16世は日本の7歳の女の子の質問に丁寧にお答えになったことが報道されています。有難いことです。また教皇庁の、開発援助促進評議会(Cor Unum,コル・ウヌム)の議長、ロベール・サラ枢機卿が仙台を訪問し、被災地に赴き、ミサと祈りをささげ、被災された人々をお見舞いしてくださいました。心から御礼申し上げます。

大震災に際してわたしたちは、教皇様を始めとして全世界の人々、キリスト教徒ばかりでなく、キリスト教徒以外の人々との連帯を強く感じました。同じ人類としてつながっているという実感を持つことができたのはうれしいことです。

わたしたちは教会という枠を超えて人類共通の課題に連帯して取り組んでいかなければならないと痛感いたします。

皆さんの総会のテーマは「連帯と協働」であるとお聞きしています。

わたしたち教会の中にもさまざまな問題・課題がありますが、互いの違いを超え、教区の違い、修道会・宣教会の間の違いを超え、互いに国籍・文化・言語などの違いを超え、連帯し協働して、共通の問題に当たらなければならないと考えます。

日本カトリック司教協議会の定例司教総会がまもなく開催されます。東日本大震災のさなかの日本の教会が、教区と言う壁を越えていかに連帯して協働できるか、について話し合う予定であります。

なお、この機会に思い起こしたい課題は東京教区の三つの優先課題です。

一. 信仰の生涯養成、すべての信者が霊的に成長すること、特に信徒がふさわしい役割と責任を担う教会として成長すること。大震災のなかで信徒の皆さんをボランティアとして受け入れ派遣することは教会の大切な役割です。

二. 多国籍教会としての成長。カトリック東京国際センター(CTIC)を中心にこの課題に取り組んでいます。大震災のさなか、この課題はさらに重要になりました。

いまは特に困難な状況にあるフィリピンの方々の支援に力を入れたいと思います。

三. こころのケア。現代社会では心の問題を抱える人が多いです。また今回の大震災によってこころに傷を負う人が多数おられます。わたしたちはこの人たちのために何をすることができるでしょうか。これも大きな課題です。

 

聖霊が皆さんの総会を導き豊かな恵みをもたらしてくださるよう祈ります。