教区の歴史

教区の歴史

復活の主日説教

2011年04月24日

2011年4月24日 立川教会にて

 

第一朗読 使徒たちの宣教(使徒言行録10・34a,37-43)

第二朗読 使徒パウロのコロサイの教会への手紙(コロサイ3・1-4)

福音朗読 ヨハネによる福音(ヨハネ20・1-9)

 

今日の第二朗読でパウロは教えています。

「さて、あなたがたは、キリストと共に復活させられたのですから、上にあるものを求めなさい。そこでは、キリストが神の右の座に着いておられます。上にあるものに心を留め、地上のものに心を引かれないようにしなさい。あなたがたは死んだのであって、あなたがたの命は、キリストと共に神の内に隠されているのです。」

東日本大震災は日本列島に住む者全員に深刻な問題を引き起こしました。多くの人は大きな不安の中に置かれています。

今日聖パウロのこの言葉を読んで、わたくしは大震災の最中にわたしたちの回心を促している言葉であるかのように受け止めています。

上にあるものに心を留め、地上のものに心を引かれないようにしなさい。

戦争に敗れたわたしたちはひたすら経済の復興を目指し、経済成長に没頭してきました。いわば地上のものにどっぷりつかってしまったのです。気がついてみれば連続13年間自死者3万人、家庭は崩壊、家族の絆の極めて弱く、いまの社会は無縁社会といわれています。人と人との温かいつながりより、より多い所得を優先させた結果がいまの社会ではないでしょうか。

これからは上にあるものに心を留め、よりシンプルな生活をしながら、祈りを大切にし、新しい社会、新しい教会を建設していこうではありませんか。

ところで、原子力発電所の事故は深刻であり、人災であって、わたしたちの責任が問われています。しかし大地震と津波は天災であります。なぜ東日本の人々がこの災害にあわなければならなかったのでしょうか?

日本の7歳の少女が教皇ベネディクト16世に質問しました。

「わたしは地震でとても怖い思いをしました。同じ年のたくさんの子どもたちが亡くなりました。どうしてわたしたちはこのような悲しい目にあわなければならないのですか?」

教皇様はお答えになりました。

「どうして皆さんがこのように苦しまなければならないのでしょうか。私には答えることができません。けれども私は知っています。イエスは罪がないのにわたしたちと同じように苦しまれました。神様は皆さんの苦しみをご存知です。神様は皆さんのそばにおられます。神様は皆さんを愛しておられます。世界中の人が皆さんと一緒にいてくださいます。いつか、なぜかがわかるときがくると思います。・・・」

わたくしは使徒パウロのローマ書の言葉を思い出しています。パウロは被造物の解放と贖いを受けなければならない、と言っています。そのときがくるまで、被造物、この世界はうめき、産みの苦しみを体験している、と言っています。(ロマ8・18-22参照)

全被造物が贖われ解放されるときは主キリストの再臨のときであり、そのときに〈新しい天と新しい地〉(黙示21・1)が実現するのです。「わたしたちはこのような希望によって救われているのです。」(ロマ8・23)

神様がこの信仰と希望を強めてくださいますように。