五井教会ミサ説教(四旬節第3主日)

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    2011年3月27日 五井教会にて

     

    第一朗読 出エジプト記(出エジプト17・3-7)

    第二朗読 使徒パウロのローマの教会への手紙(ローマ5・1-2,5-8)

    福音朗読 ヨハネによる福音(ヨハネ4・5-42)

     

    今日の福音は有名なサマリアの女の話です。

    この女性は二重、三重の意味で差別され疎外されていた人だったと思われます。

    まず彼女はサマリア人でした。サマリア人とユダヤ人の間には大きな壁がありました。イスラエルを統一したダビデ王の後を継いだのがソロモン王です。その次の王はレハベアムで、そのときにイスラエルの統一王国は南北に分裂してしまいました。そしてやがて北のイスラエル王国はアッシリア帝国に、南のユダ王国もその後バビロニア帝国に滅ばされてしまします。北イスラエルの人々は正当なユダヤ教信仰から離脱した人々としてユダヤ人から異端視されていました。

    次に彼女は女性でした。当時のユダヤの社会では、男女の差別がひどく、女性は男性の所有物のようにみなされていました。イエスがサマリアの女性に話しかけたときに彼女は驚いています。今日の福音は次のように言っています。

    「すると、サマリアの女は、『ユダヤ人のあなたがサマリアの女のわたしに、どうして水を飲ませてほしいと頼むのですか』と言った。ユダヤ人はサマリア人とは交際しないからである。」 (4・9)

    イエスの周囲にはマグダラのマリアをはじめ多くの女性がいました。イエスは女性を男性と対等な神の似姿と認め、互いに助け合い、補い合うべきパートナーとして、大切な存在としていました。

    次にこの女性はサマリアの女性の中でも疎外されていたと思われます。女が水汲みに来たのは正午ころのことでした。普通、水汲みはまだ涼しい早朝に行うものです。水汲みは主婦の大切な仕事でした。水汲みに集まった女性たちは井戸の周りで楽しいおしゃべりにひと時を過ごしたのかもしれません。しかし彼女はこの女性の交わりからも疎外されていました。

    イエスは言いました。

    「『夫はいません』とは、まさにそのとおりだ。あなたには五人の夫がいたが、今連れ添っているのは夫ではない。あなたは、ありのままを言ったわけだ。」 (4・17-18)

    彼女は五回も結婚したことのある女性でした。そのことはシカルの女性の中でみなが知っていたことかもしれません。彼女は女としても女性の中で排斥されていたのでしょう。

    イエスとサマリアの女性の間にあった隔ての壁は実に厚く強く三重になって張り巡らされていました。イエスはその三重の隔ての壁を打ち壊したのです。

    イエスが与える「渇くことのない水」とは聖霊のことでした。使徒パウロは今日の第二朗読で言っています。

    「希望はわたしたちを欺くことがありません。わたしたちに与えられた聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからです。」(5・5)

    聖霊は信じるものにあたえられる神の命です。

    「わたしたちがまだ罪人であったとき、キリストがわたしたちのために死んでくださったことにより、神はわたしたちに対する愛を示されました。」(5・8)

    罪びとを愛し、罪びとをゆるす神の愛はイエス・キリストの十字架によって示されました。わたしたちは十字架によるあがないを信じて救いを受けるのです。

    このたびの大震災に際してわたしは聖霊の息吹を感じています。世界中の多くの人がわたしたちのために祈り、支援をし、連帯の挨拶を送ってくださいます。すばらしいことです。民族と国家の違いを超えて働く聖霊の息吹があると感じます。聖霊に励まされ、希望と信頼を持って歩んでまいりましょう。