武蔵野北宣教協力体合同堅信式説教

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    2010年11月23日 秋津教会にて

     

    第一朗読 使徒言行録(2・1-11)

    第二朗読 コリントの教会への手紙(1コリント12・3b-7,12-13)

    福音朗読 ヨハネによる福音(20・19-23)

     

    本日の堅信式のミサの第1朗読は使徒言行録の第2章、聖霊降臨の箇所です。使徒たちの上に聖霊が降ってきた様子がヴィジュアルに告げられています。このときわたしたちの教会は誕生し、ペトロが使徒たちを代表して最初の説教を行いました。ペトロはナザレのイエスこそ聖書で預言されていたメシアであること、イエスは十字架につけられて殺されたが復活されたこと、自分たちは復活の証人であること、などを力強く説いたのでした。

    ペトロの説教は確信と力に満ちています。このとき誕生した教会共同体には力が漲り、光に満ち、喜びと希望でいっぱいでした。この力、光、喜び、希望は聖霊の賜物でした。彼らは聖霊に満たされ、聖霊に導かれて、力強く宣教し、キリストをあかししたのです。

    このようにして誕生したわたしたちの教会ですが、2000年にわたってさまざまな試練、困難に遭遇しながら、今日まで歩んできました。この間、復活されたイエスはいつも教会と共にいて、わたしたちを導いてくださいました。復活した主イエスがわたしたち教会と共にいてくださるという信仰は私たちにとって非常に大切です。

    教会は復活したイエスがいらっしゃる、というしるし、イエスの現存のしるしです。そのしるしはあるときは輝かしい、明るいしるしですが、あるときは、暗い、弱いしるしになっています。

    イエスの霊である聖霊の働きは、あるときは強く、あるときは弱く、あるときは明るく、あるときは暗く働きます。聖霊の働きを豊かに受けるかどうかは、わたしたち信者の側の状態、信仰に深くかかわっています。聖霊が働いていてもその働きにどのように答えるか、はわたしたち信者の側の責任であります。

    今のカトリック教会、日本の教会、東京教区はどんな状態に置かれているでしょうか?人々はわたしたちを見て、そこに、復活されたイエスの現存をみとめてくれるでしょうか?明るいしるしをみてくれるでしょうか?

    わたしたちはどちらかといえば、教会も社会も、今かなり厳しい状況に置かれております。

    日本では過去12年間、連続して、自死者が3万人を越えています。さまざまな理由・原因が考えられています。確かに病気や貧困など大きな問題です。大変長生きの時代となりましたが、他方、健康で幸福に生きるのが難しい時代になっている、ともいえるのではないでしょうか。かつては、家族や地域の隣人がお互いに支えあい、助け合って生きておりました。現代の社会では、孤立し孤独な状態におかれている人が増えています。生きがいが失われ、あるいは生きる動機が弱くなっているのではないでしょうか。

    先日、日本の司教協議会のカリタスジャパン啓発部会は『自死の現実を見つめて―教会が生きる支えとなるために―』と言う小冊子を発行しました。是非皆さんに読んでいただきたいと思います。

    先週(11月16日~18日)、韓国で開かれた日韓司教交流会に参加しました。分かち合いのテーマは「自死」でした。実は韓国で自死が社会問題になっています。韓国では自死ではなく「自殺」といっています。最近自殺率が非常に高くなりました。韓国は2009年では経済協力発展機構(OECD)の中で第1の自殺率です。(ちなみに日本は3位)(年齢別死亡原因の統計によれば、20代で亡くなった人の死亡原因の1位が自殺であり、しかも男性より女性の自殺率が高い、と報告されています。)

    韓国の自殺率急騰の原因分析も行なわれています。簡単に言えば、

    1.価値観の変化と混沌、2、過剰なストレス、3.家庭の破綻と離婚増加、などが挙げられています。このような原因は日本の場合とかなり共通していると思われます。

    人は人とのつながりの中で生きています。わたしたちは自分の信仰を、他の人を通して頂く場合が多いと思います。例えば、親とか、友人などを通してわたしたちは信仰をいただきます。ところがその人たちとの関係がうまくいかなくなる場合があります。その人のことが信じられなくなることがあります。これも大きな試練です。家族の関係の中で悩み苦しみ、不信に陥ってします場合もあるのです。

    本当に信じるということは大変なことです。

     

    信仰とは見えない神の愛を信じて受け入れることです。見えることは信じる必要がありません、見えない神の愛をわたしたちは信じるのです。

    イエスは、「父わたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす」と言われて、使徒たちに聖霊を注がれました。聖霊は教会の中に留まり、世の終わりまでわたしたちを導き助けてくださいます。2010年の日本のカトリック教会、東京教区のなかにイエスの霊、神の霊は存在し働いてくださいます。

    堅信の秘跡は聖霊の7つの賜物、知恵と理解、判断と勇気、神を知る恵み、神を愛し敬う心を授ける秘跡です。砂漠のような現代社会の中で「神は愛である」ことを深く信じ、聖霊の恵みを受けて、神の愛を現し伝える事こそ、現代の使徒の働きであります。

    最後にラインホールド・ニーバーという神学者の「静けさの祈り」を紹介し、説教の結びとします。

     

    神さま、わたしにお与えください、

    変えられないものを受け入れる心の静けさを、

    変えられるものを変える勇気を、

    そしてその二つを見分ける知恵を。

     

    ちなみに英語原文はつぎのとおりです。

     

    The Serenity Prayer

    God grant me the serenity

    to accept the things I cannot change;

    courage to change things I can;

    and wisdom to know the difference.