東京教区合同堅信式説教

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    2010年5月23日 東京カテドラル聖マリア大聖堂にて

     

    第1朗読 使徒たちの宣教:2・1-11

    第2朗読 使徒パウロのコリントの教会への手紙:1コリント12・3b-7,12-13

    福音朗読 ヨハネによる福音:20-19-23

     

    今日は聖霊降臨の主日、聖霊降臨は教会の誕生の日であり、教会の使命である宣教開始の日であります。

    第1朗読は使徒言行録の第2章、聖霊降臨の箇所です。使徒たちの上に聖霊が下ってきた様子がヴィジュアルに告げられています。このときわたしたちの教会は誕生し、ペトロが使徒たちを代表して最初の説教を行いました。ペトロはナザレのイエスこそ聖書で預言されていたメシアであること、イエスは十字架につけられて殺されたが復活されたこと、自分たちは復活の証人であること、などを力強く説いたのでした。

    ペトロの説教は確信と力に満ちています。このとき誕生した教会共同体には力が漲り、光に満ち、喜びと希望でいっぱいでした。この力、光、喜び、希望は聖霊の賜物でした。彼らは聖霊に満たされ、聖霊に導かれて、力強く宣教し、キリストをあかししたのです。

    使徒言行録は使徒たちの目覚しい働き、奇跡、しるしなどを伝えています。彼らの働きはみな聖霊の働きによるものでした。使徒言行録の主人公は実は聖霊です。

    聖霊降臨によって生まれたわたしたちの教会はこのように、実に力強く、喜びにあふれた、聖霊の恵みの豊かに宿る神の民の共同体でした。

    このようにして誕生したわたしたちの教会ですが、2000年にわたってさまざまな試練、困難に遭遇しながら、今日まで歩んできました。この間、復活されたイエスはいつも教会と共にいて、わたしたちを導いてくださいました。イエスがわたしたち教会と共にいる、とわたしたちは信じています。この信仰は私たちにとって非常に大切です。

    教会は復活したイエスがいらっしゃる、というしるし、イエスの現存のしるしです。そのしるしはある時は輝かしい、明るいしるしですが、ある時は、暗い、弱いしるしになっています。

    イエスの霊である聖霊の働きは、ある時は強く、ある時は弱く、ある時は明るく、ある時は暗く働きます。聖霊の働きを豊かに受けるかどうかは、わたしたち信者の側の状態、信仰に深くかかわっています。聖霊が働いていてもその働きにどのように答えるかは、わたしたち信者の側の責任です。

    今のカトリック教会、日本の教会、東京教区はどんな状態に置かれているでしょうか?人々はわたしたちを見て、そこに、復活されたイエスの現存をみとめてくれるでしょうか?明るいしるしをみてくれるでしょうか?

    わたしたちはどちらかといえば、今かなり厳しい状況に置かれております。どちらかといえば、聖霊の光、聖霊の力は私たちの目には隠されています。

    先日、マザーテレサの生涯についての本を読みました。彼女はいつも微笑みを浮かべておりましたが、実は50年近くの間、霊魂の闇夜に苦しんでいたということです。霊的に暗闇に置かれて光が見えない、空虚である、孤独である、必要とされていない、などの試練を受けていたとのことです。マザーが霊的指導者に送った手紙の内容が公開され、マザーの受けた試練が明らかにされました。

    マザーテレサのような霊的試練ということでなくとも、人は信仰の試練に遭遇することがあります。なにかの機会に、例えば病気とかになって、あるいは、自分の地上の生涯はもう長いことはないと思うような年齢に達したときに、人はいままで素直に信じてきたことが分からなくなる、ということがあります。自分は死んだらどうなるのだろうか?神様は本当にわたしを愛してくださっているのだろうか?神様はどのようにわたしを愛してくださっているのだろうか?

    人は人とのつながりの中で生きています。信仰は他の人を通して頂く場合が多いと思います。例えば、親とか、友人などを通してわたしたちは信仰をいただきます。ところがその人たちとの関係がうまくいかなくなる場合があります。その人のことが信じられなくなることがあります。これも大きな試練です。家族の関係の中で悩み苦しみ、不信に陥ってしまう場合もあるのです。

    本当に信じるということは大変なことです。

    聖霊降臨のときのようなはっきりした明るいしるしが見えないこの時代において神の愛を信じるのはやさしくはありません。

    信仰とは見えない神の愛を信じて受け入れることです。見えることは信じる必要がありません。見えない神の愛をわたしたちは信じるのです。

    イエスは、「父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす」と言われて、使徒たちに聖霊を注がれました。聖霊は教会の中に留まり、世の終わりまでわたしたちを導き助けてくださいます。2010年の日本のカトリック教会、東京教区にイエスの霊、神の霊はいてくださいます。

    今日はこれから堅信式が行なわれます。堅信の秘跡を受ける皆さんに、聖霊は7つの賜物、知恵と理解、判断と勇気、神を知る恵み、神を愛し敬う心、を与えてくださいます。砂漠のような現代の社会の中で「神は愛」を信じ、神の愛を行うことこそ、現代の使徒の働きであります。

    堅信とは信仰を堅くすること。どうか全能の神が皆さんに、神の愛を力強くあかしする強い信仰をお与えくださいますように。アーメン。