教区の歴史

教区の歴史

聖香油のミサ説教

2010年04月01日

 2010年4月1日 東京カテドラル聖マリア大聖堂にて

 

第1朗読 イザヤの預言61章1節-3節a,6節a,8節b-9節

第2朗読 ヨハネの黙示録1章:5節-8節

福音朗読 ルカによる福音4章:16節-21節

 

 

皆さんご存知のように、いまわたしたちは司祭年を過ごしています。教皇ベネディクト十六世は「全世界の司祭の守護聖人」である聖ヨハネ・マリア・ビアンネ帰天150周年に際して、昨年の6月19日のイエスのみ心の日からことしの6月11日のイエスのみ心の日までの1年間を司祭年に定めました。そして今日は主キリストが司祭職を使徒に与え、またわたしたちに与えてくださったことを記念、叙階の日の決意を新たにする日です。

3月7日、ここ東京カテドラル聖マリア大聖堂で3人の方が教区司祭に叙階されました。また3月27日には田園調布教会で、フランシスコ会の助祭が1人、司祭に叙階されました。

叙階式は何度あずかっても感動します。とくに司祭たちが列を作って叙階される兄弟たちの前に進み出て、次々に受階者の頭に手を置いて按手する場面は非常に印象的です。わたしは叙階式のたびに、参加するときも司式するときも、深い感慨を持ってこの場面を見守っています。わたしたち司祭はそれぞれこのようにして司祭団に加えて頂いたのでした。

率直に言って、いまわたしたち司祭は困難な状況に置かれています。東京教区で働く司祭たちはそれぞれ問題や課題に出会い、困難を感じながら、叙階の約束に従って日々の務めを神にささげています。今わたしたちは司祭評議会で、司祭の健康、休養、休暇、サバティカル、年の黙想、司祭の霊的生活などの課題に取り組んでおります。

今日は特に、わたしたちの決意を神が支え強めてくださるよう祈りたいと思います。また特に病気の司祭を神が慰め、いやしてくださるようどうか皆さん、祈ってください。

今日の第1朗読、イザヤの預言の中に「嘆きに代えて喜びの香油を」ということばがあります。今日は聖香油の祝別が行なわれます。わたしたちは聖香油を受けて、救いの喜びを伝える任務を受けたのでした。イザヤはまた次のように言っています。

「わたしは主によって喜び楽しみ、わたしの魂はわたしの神によって喜び躍る。主は救いの衣をわたしに着せ、恵みの晴れ着をまとわせてくださる」(61:10) このことばを今日は深く味わいたいと思います。

司祭年は特に司祭の模範を残された聖人たちに学ぶ年です。聖ビアンネの驚嘆すべき模範、自分の小教区の回心のためにささげた熱意、祈り、謙遜と忍耐、何よりも生活自体によるすばらしい愛の証しに少しでもあやかりたいものです。

先日たまたま聖フィリポ・ネリのことを知りました。フィリッポ・ネリは1622年に、イグナチオ・ロヨラ、フライシスコ・ザビエル、そしてアビラのテレジアと一緒に列聖された聖人です。彼は「喜びの聖人」「ローマのもう一人の使徒」と呼ばれる、ユーモアにあふれた明るい司祭でした。現代の日本に必要なのは、この信仰の明るさ、喜びではないでしょうか。聖霊がわたしたち司祭に、忍耐と勇気と共に信仰の明るさと喜びの賜物を与えてくださるよう祈りましょう。