教区の歴史

教区の歴史

築地教会訪問ミサ説教

2010年01月17日

2010年1月17日 築地教会にて

 

今日の福音は、カナの婚宴の話でございます。イエスが初めて栄光を現された時であります。婚宴は人生の中で最も喜ばしいことです。今日の年間第2主日の福音は「喜び」ということではないでしょうか。日本の教会の典礼で、聖体拝領に入る前に唱える祈り、それは「神の小羊の食卓に招かれた者は幸い」という言葉です。ごミサはご聖体拝領で終わりますが、この聖体拝領は神の国が完成された時の喜びをあらかじめ指し示し、そして味わうものであると、わたしたちは理解することができます。

この聖体拝領前の言葉は黙示録の19章9節「小羊の婚宴に招かれている者たちは幸いだ」という言葉から取られています。今日の第1朗読におきましても「喜び」ということがテーマになっております。「若者がおとめをめとるように、あなたを再建される方があなたをめとり、花婿が花嫁を喜びとするように、あなたの神はあなたを喜びとされる」。イザヤ書であります。苦しいバビロン捕囚が終わって、エルサレムに帰還したイスラエルの民は主なる神様からこのような喜びのことばを受けることができました。この言葉と今日読まれた福音とは重なっているように思います。そして神の国が完成されたときに、ほふられた小羊であるイエス・キリストと共に大きな喜びを分かち合うことができることを、黙示録は告げています。

その神の国の現われの前ぶれ、「前表」と言いましょうか、前もって表されている「前表」がこのミサ聖祭であります。日本の典礼は大変静かですが、他の国に行きますと、例えばアフリカでは、わたしは参加したことがないのですが、ミサは大変にぎやかだそうです。先日、アフリカで働いておられた日本人のシスターが戻って来られまして、アフリカの教会の様子、ミサの様子をうかがいました。ベナンで働いておられますが、ミサは本当に大きな喜びで、朝早くから人々が集まって、聖堂いっぱいに大変にぎやかに行われるそうです。そして終わった後も皆帰らないで楽しく一緒に過ごす。朝から晩まで教会で過ごすという話です。本当にそうであればいいなあと思います。文化の違い、社会の違い、伝統の違い、歴史の違いなどいろんな違いがあるので、そうなのかもしれませんが、今のわたしたちの生活、そして私たちの教会の様子とはあまりにも違う。わたしたちはこの東京にあって、ミサに集まる喜び、安らぎ、楽しみをもっと豊かに持つことができる、そういうような典礼、そういうような教会になっていきたいと心から願っています。

 

今日の第2朗読はコリントの教会への手紙ですが、一人一人は違う神のたまものを受けており、互いにそれを認め合い、喜び合うようにしましょうという主旨であります。同じように教会共同体にもそれぞれに違う役割がありますし、違うたまものを受けていると思います。皆様の築地教会が受けているたまものは何であるのか。築地教会の役割はどこにあるのか、ということを、今日ご一緒に考えていきたいと思います。