東京教区修道女連盟研修会ミサ説教

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    2009年1月4日 聖心女子大学で

     

    皆さん明けましておめでとうございます。

    皆さんにはいつも大変お世話になっております。改めて御礼申し上げます。新しい年が平和な年、そして日本の福音化の発展の年となりますようお祈りいたします。

    今日は主の公現の日、東方より占星術の学者たちがベツレヘムまで幼子イエスを訪ね、ひれ伏して幼子を拝み、黄金・乳香・没薬を捧げたという出来事を記念いたします。

    今日のエフェソ書では「異邦人が福音によってキリスト・イエスにおいて、約束されたものをわたしたちと一緒に受け継ぐ者、同じ体に属する者、同じ約束にあずかる者となる」とあります。

    公現とはユダヤ人ではない異邦人であった博士たちがイエスを礼拝したことを伝えていますが、イエス・キリストは異邦人の使徒パウロによりギリシャ人の世界へ伝えられました。日本には東洋の使徒フランシスコ・ザビエルにより、1549年にキリスト教が伝えられたことをほとんど全ての日本人は知っております。 

    まだ喜びと感激冷めやらない時ですが、2008年11月24日、ペトロ岐部と187殉教者の列福式が行われました。この188人の福者は1603年から1639年の間に殉教した方々です。

    この188人の福者が今の日本のカトリック教会に種々のメッセージを伝えています。私は特に次の二つのことに注目したいと思います。 

    第一のことは4人の殉教者の司祭の証しです。ジュリアン中浦、ディオゴ結城了雪、トマス金鍔次兵衛、ペトロ岐部カスイの4人の司祭はよい牧者として、司祭の務めを忠実に果たし、最後には羊のために命を捧げました。

    今のわたしたち司教、司祭はどのように自分の務めを果たしているでしょうか?羊を養うのではなく自分自身を養っている牧者であるということはないでしょうか?弱い者を強め、病める者を癒し、傷ついている者を包むという牧者の務めを忠実に果たしているでしょうか?逆に弱い羊を悩ませ苦しめ脅かすなどのことをしていないでしょうか?真摯に反省しなければなりません。エゼキエル書34章をよく味わいたいものです。 

    第二の証しは、女性の殉教者の証しであります。188人の中に女性は60人おられます。60人の中で特に私は小笠原みやという方に、非常に強い印象を受けています。

    小笠原みやは小笠原玄也の妻、そして9人の子どもの母でした。さらに4人の奉公人がおりました。この小笠原家15人が1636年1月30日、熊本で殉教しました。

    ここに、信仰・希望・愛で結ばれた15人の家族の固い結束がみられます。今の家庭はどうでしょうか?家族の絆はどうなっているでしょうか? 

    1993年、第二回福音宣教推進全国会議(NICE-2)で「家庭」という主題を選び、司教団は教会が家庭を支え導かなければならないことを強調しました。18年経って司教団はNICE-2の振り返りを行い、この課題がどのように実行されたか反省を行いました。今の家庭、家族関係はさらに難しい状況にあると思われます。社会の再建と刷新はまず男と女、夫と妻、親と子、兄弟姉妹の関わり方の刷新と再建から始まらなければならないと言わなければなりません。

    私はこれからの日本の福音化は女性の力によるところが非常に多いと思っています。この閉塞状況でどのように福音化の道を切り開いていくのでしょうか?ともかくできることを小さいことから積み重ねていきたい。しかしいずれにせよ、ともに御言葉を分かち合うことが不可欠であります。

    教会は社会の福音化、いや、世界の福音化に関わり貢献することができます。今までそうしてきましたし、今もそうしていると思います。 

    今年の『世界平和の日』の教皇メッセージは「貧困と闘い、平和を築く」であります。今、世界は地球規模の金融危機に見舞われています。

    金融操作・活動は複雑で一般の人には理解しがたい世界です。しかし人間が行っている人間の働きです。教皇ベネディクト16世は金融の地球規模化についての懸念を次のように述べています。

    「金融の最も重要な機能は、長期的な投資と発展の可能性を支えることです。今日、この機能は極めて脆弱になっているように思われます。」 

    そして短期的な思考に基づいて金融取引が行われていること、金融活動自体の利益の増大を目指しているから問題が起こっていること。さらに本来金融活動は世界の共通の善のために長期的な展望をもって行われなければならない。と述べているようです。

    私は教皇ベネディクト16世のメッセージを読み、自分なりに考えてみました。

    金融操作と金融活動は全ての人の共通の善のために、長期的な見通しのもとで、貧困との闘いのために行われなければなりません。例えば、医療・介護・教育・食糧・環境などの問題の解決のために、失業者・高齢者・傷病者・疲弊した国々や地域のための施策などを視野に入れて行われなければなりません。巨大な軍事費に国家予算が支出され、貧困との闘いのためにはわずかな配慮しか払われていないのが現実です。

    今日の光延神父さんの講演『憲法9条と平和の霊性』を伺いながら、さらに日本の教会が社会の福音化のために貢献する道を共に求めていきたいと思います。