カジミロ澤出光一郎神父葬儀ミサ説教

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    2007年11月13日 東京カテドラル聖マリア大聖堂にて

     

    2007年11月9日、カジミロ澤出光一郎神父様は帰天されました。1906年11月19日が誕生日なので、あと10日で101歳になられるところでした。わたくしは東京大司教になって間もなく、三田の枝光会に神父様を訪問しました。神父様は土井辰雄枢機卿の顧問をしておられましたので、司教の側近として司教の任務をよくご存知でした。いろいろなお話のなかで次のお言葉が強く心に残りました。「司教様のお仕事は大変ですね」はじめて会った、しかも司祭叙階が40年も後の、孫のような世代の後輩の司教へのいたわり、励ましの言葉でした。 

    2006年11月19日は神父様の100歳の誕生日であり、ちょうど年間第33主日にあたっていました。幸いにもわたくしは三田の枝光会の聖堂で神父様とご一緒にお祝いのミサを捧げることができました。車椅子の神父様は、御血の拝領のときに立ち上がられ、一生懸命カリスから御血を拝領されました。あのような壮絶な御血の拝領の様子を拝見するのははじめてでした。本当に一生懸命ミサを捧げられました。一同固唾を飲んでそのご様子を見守っておりました。 

    当日の福音はマルコ13.24-32で、キリストの再臨へ備えていなさい...という教えでした。澤出神父様はミサの閉祭のときに参加者にご挨拶をなさり、およそ次のように言われたと思います。

    「小さなことは日々覚えていますが、大きな目標は忘れがちです。ただ憧れるだけではなく、実際自分の中を見つめ、神が下さったおめぐみに心から感謝し、かつ自分の心を養い育てていきましょう。そのようにして大きな目標へ向かって一歩一歩、歩んでまいりましょう。日々、神を敬愛し、隣人を己のごとく愛し合う豊かな心を常に神の御保護のもとに育てて参りましょう。」 

    100歳を迎えた司祭の言葉です。司祭職71年を捧げたお方の言葉です。1935年(昭和10年)澤出神父様はフランスのベルサイユで司祭に叙階されました。翌36年に帰国され、1938年には土井辰雄東京大司教の秘書になられました。長く麻布教会の主任司祭を務められ、1969年からは枝光会の指導に専念され幼児教育に貢献されました。長い生涯、どんな困難を体験されたのでしょうか。「道、真理、いのちである」と言われた主イエスの道を歩まれ、真理である主イエスの教えを伝え、永遠のいのちキリストへと人々を導かれたのです。大きな目標に向かい、日々小さなことを、心を込めて愛を込めて実行しながら司祭の務めを果たしていこうと改めて決心する次第です。