教区の歴史

教区の歴史

復活節第5主日のミサ説教 《新教皇ベネディクト16世就任を祝って》

2005年04月24日

2005年4月24日10:00~、 東京カテドラル聖マリア大聖堂にて

 

本日、夕方5時よりバチカンでは新教皇ベネディクト16世の就任式が行われます。このミサを捧げてベネディクト16世の就任を祝うと共に、教皇様の上に豊かな聖霊の導きがありますよう祈りましょう。 

今日の福音を読んでわたしはまずフィリッポの言葉が心に響きました。フィリッポはイエスに次のように言っているのです。

「主よ、わたしたちに御父をお示しください。そうすれば満足できます。」

皆さんもかつてフィリッポのように考えたことはありませんか。「神様とはどんな方だろう。一度会ってみたい、この目で見てみたい。」

イエスは答えて言われました。「フィリッポ、こんなに長い間一緒にいるのに、わたしがわかっていないのか。わたしを見た者は父を見たのだ。」

このイエスのことばには、嘆きの気持ちが込められているように感じられます。イエスは繰り返し諭すように言われます。

「わたしが父の内におり、父がわたしの内におられると、わたしが言うのを信じなさい。」

誰も神を見た者はいないのです。神は目に見えない方です。その目に見えない神がナザレのイエスの内におられるのです。イエスは見えない神の愛を完全に体現した方でした。弟子たちは聖霊降臨の恵みを受けてこの真理を悟りました。 

ヨハネの手紙の中でこう言っています。「いまだかつて神を見た者はいません。わたしたちが互いに愛し合うならば、神はわたしたちの内にとどまってくださり、神の愛がわたしたちの内で全うされているのです。」

見えない神を現し伝えるのは、互いに愛し合う、その愛なのです。今日の福音でイエスは言われます。「わたしを信じる者は、わたしが行う業を行い、また、もっと大きな業を行うようになる。わたしが父のもとへ行くからである。」

これは不思議なことばです。弟子たちがイエスよりも大きな業を行うことができるとは不思議なことです。その秘密は聖霊にあると思います。イエスが父のもとから送ってくださる聖霊の助けによって神の愛を実行する者となることができるとイエスは言っておられます。 

わたしたちは新しい教皇様をいただきました。新しい教皇様のもとでわたしたちが決意を新たにし聖霊の導きを豊かに受けられるよう祈りましょう。聖霊の助けがあればわたしたち日本の教会もより大きな働き、愛の業を実現できるのです。教皇ヨハネ・パウロ2世は偉大な宗教者でした。人間の尊厳を大切にし、慈悲の精神を訴え、平和の建設のために力を尽くされました。つまり神の愛の実行に尽くされたのです。教皇ベネディクト16世はこの前任者の姿勢、方針、精神を継承し、世界の平和、人類の和解のために尽力してくださると信じます。 

それでは皆さん、本日行われるバチカンにおける教皇就任式のミサに意向に合わせて、教皇に就任されるベネディクト16世のため、そしてわたしたち自身のために祈りましょう。 

主よ、どうか新しい教皇に聖霊を豊かに注いでください。主イエスは「わたしは道であり、真理であり、命である」と言われました。新しい教皇ベネディクト16世が主イエスの道をわたしたち日本の教会に示し、愛の完成へ導いてくださいますように。新しい教皇が、全世界のすべての人の平和の使徒としてよき指導力を発揮できるよう導き励ましてください。すべての人が宗教、信条、立場の違いを越え、真の和解と平和に達することができますように。そしてわたしたち一人ひとりに聖霊を注ぎ、わたしたちが新しい教皇と共に世界の平和のためによく働くことができますよう、わたしたちを教え導き力づけてください。

この祈りと願いを、わたしたちの主イエス・キリストを通してお捧げします。アーメン。