2004年元旦、神の母聖マリアの祭日のミサ (カテドラル)

    image_pdfimage_print

    2004年1月1日、零時、東京カテドラル・聖マリア大聖堂にて

     

     

    新年明けましておめでとうございます。2004年がすべての人にとって愛とゆるしと平和に満たされた年となりますようお祈り申し上げます。 

    カトリック教会では正月元旦は神の母聖マリアの祭日であり、日本のカトリック教会では「守るべき祝日」となっております。今日はまず福音史家ルカが告げる聖母の信仰に学びたいと思います。 

    今日の福音でルカは告げています。「マリアはこれらの出来事をすべて心に納めて、思い巡らせていた」。マリアはイエスの誕生の意味を思い巡らします。12歳の少年イエスを神殿で見つけたときもそうでした。「母はこれらのことをすべて心に納めていた」とルカは語っています。マリアは信仰の人でした。天使ガブリエルからお告げを受けたときも、十字架の元にたたずんだときも、彼女は信仰のうちに神のみ旨を求め、神のみ旨に従って歩みました。わたくしはこの年を聖母に倣って過ごし、聖母に倣って信仰のうちにこの年を主なる神にささげたいと思います。困難と問題の多き時代であり世界です。日々神のことばを思い巡らし、自分の身に起こる出来事を信仰のうちに受け止め、希望をもって歩んでまいりたいと思います。 

    神の母聖マリアの祭日は世界平和の日であります。教皇様は毎年平和についてのメッセージを発表されます。今年のメッセージは「常に時に適った取り組みである平和」と題されています。今、わたくしがこのメッセージをよく読んで学んだことを皆さんにお伝えします。2003年もテロの恐怖が世界を駆け巡った年でした。テロについて教皇様は次のように言われました。

    「テロとの戦いに勝つためにはただ相手を威圧し制裁を加えるということでは不十分である。テロ攻撃の背後にある動機についての勇気ある明快な分析が必要である。また、人々を絶望的な暴力行為に駆り立てる不正義の状況を生み出している根底の原因を取り除くことが大切である。テロリストに対して武力行使をするときも法を守り、基本的人権を尊重しなければならない。目的は手段を正当化しない。」テロの原因追求とその除去が大切であります。 

    このメッセージで強調されているのは、愛とゆるしです。「世界に真の平和を築くためには、正義が愛のうちに成就しなければならない。正義の名の下に、恨みと憎しみ、あるいは残虐さがおこなわれるようなことがあってはならない。正義には愛とゆるしがともなうのでなければならない。」

    教皇は力を込めて言います。

    「愛は人間の生のすべての分野を活性化し、国際秩序にまで広がらなければなりません。『愛の文明』が支配する人類社会だけが、真に恒久的な平和を享受できるのです。(中略) 最後には愛が勝利するのです。この勝利が早まるよう、一人ひとりが努力しましょう。それはすべての人が心の中で、最も望んでいることだからです」。わたくしは、本年は是非「愛の文明」の年にしたいと切望しております。 

    最後になりますが、2004年の東京教区のいくつかの行事について申し上げます。2004年は東京教区とケルン教区が友好関係を結んでちょうど50年にあたります。3月にはケルンのマイスナー枢機卿の一行が東京教区を訪問されます。わたくしも聖霊降臨のころケルンを訪問する予定です。また、12月8日はこの東京カテドラル・聖マリア大聖堂の献堂40周年にあたりますので心を込めてご一緒に記念のミサをささげたいと思います。この大聖堂から周りの人々へ、日本の社会へ、より大きな神の栄光の輝きが広く伝わりますよう切に願っています。 

    10月には第30回「正義と平和協議会」全国集会がこのカテドラルで開催される予定です。1967年、第二ヴァチカン公会議が閉幕してまだ間もないとき、時の教皇パウロ6世は教皇庁に「正義と平和委員会」を設立しました。日本では1970年に司教団の中に「正義と平和委員会」が設立されました。最初の委員長は白柳大司教様です。以後委員会は「正義と平和協議会」として発展し、故相馬信夫司教様が長い間担当司教・会長を務められました。わたくしも相馬司教様から引き継いで一時担当司教をしておりました。わたくしはこの機会に東京教区の皆さんが、正義と平和について学び、そのために祈り、日々の生活の中で平和のために働く使徒となるよう切にお願いします。また、この機会に毎年の「平和旬間」のあり方を見直したいと考えております。 

    神の母聖マリアの祝日にあたり、主の平和がわたしたちの心の中に、この社会の中に、この世界の中に行き渡りますよう祈りましょう。