教区の歴史

教区の歴史

主の降誕・日中のミサ

2003年12月25日

2003年12月25日、東京カテドラル聖マリア大聖堂にて

 

主の降誕は主イエスの誕生の祝いであるとともに、わたしたちすべての人のいのちと誕生の祝いであります。神は人間をご自分に似せて、ご自分のかたどりとして造ってくださいました。

今日の集会祈願を深く味わいましょう。「永遠の父よ、あなたは、人間を優れたものとして造り、救いのわざをとおして、さらに優れたものにしてくださいました。神のひとり子が人となられたことによって、わたしたちに神のいのちが与えられますように」。神は宇宙万物を創造されました。被造物の頂点に人間が位置しています。人間は大変よいものとして造られました。しかし、人祖アダムとエヴァの不従順によって罪が人類に忍び寄ります。父なる神はそこで御子イエスを送り、その受肉、受難と復活をとおして人類をあがない、人類をさらに優れたものとしてくださいました。わたしたち人間はイエスの復活の栄光に与るものとなったのです。

本日のヘブライ人への手紙は言います。「御子は、神に栄光の反映であり、神の本性の完全な現われである」。誰も神を見た者はいません。見えない神を、その姿かたちと生涯によって完全に現された方がイエス・キリストです。ヨハネの福音は御子を「言」(ことば)と呼んでいます。「言」はギリシャ語のロゴスです。ロゴスは神の智慧であり、万物はロゴスによって創造されました。人間ももちろんロゴスによって創造されたのです。そして今なお創造されつつあります。創造は一回限りの神の業ではありません。日々の神の業であり、世の終わりまで行われ、キリストの再臨のときに完成する神の業であります。イエス・キリストをとおして差し伸べられた神の助け、教え、恵みを受け入れ、自分自身を日々、新しくし、復活の栄光にあずからせることこそわたしたちの大切な務めであり召命であります。

2003年の主の降誕・日中のミサに参加されている皆さん。わたしたちの東京教区では本年4月20日、復活祭の日に宣教協力体が誕生し、また大きな規模で司祭人事異動が行われました。皆さんのご理解ご協力に心から感謝申し上げます。本年は宣教協力体の趣旨がより広く深く浸透しますよう願っています。また本部が直接担当する3つの優先課題を着実に実行に移したいと願っています。来年はそれに加えてなおもう一つの特別な課題を持っています。それはこのカテドラルの構内のことです。ここは特別なところであり、東京教区の中心に位置しています。わたくしはこの構内のすべての人がよく力を合わせること、そしてすべての働きがより調和の取れたものになることを望んでいます。この構内にはこの東京カテドラル聖マリア大聖堂をはじめいろいろの建物と部署があり、そこで東京教区の種々の働きが行われています。わたくしはこの構内で働く人々が、(わたくし大司教を含めて)もっと互いに理解を深めたい、そうしなければならないと考えています。なによりもっと他の人の立場と気持ちを理解しようとすることが大切です。そしてもっと大切なのは一緒に祈ることだと思います。カテドラルでの典礼や構内での祈りがよりよいもの、より深いものとなるよう切に望みます。

聖イレネウスという有名な教父は、「神の栄光は人間の中に現れる」と言いました。皆さん、わたしたちはイエス・キリストをとおして神の栄光を現すよう召されていいます。人となられたみことばイエス・キリストがこの大聖堂と関口教会、この構内でのわたしたちの働きをとおして、より大いなる神の栄光を現してくださいますよう切に祈りましょう。